familybusiness’s diary

家族で貿易商社を営む日々のあれこれ/オンライン読書会はじめました

横ドラが怖い話①

横飯(ヨコメシ)という言葉がある。

元々は駐在員用語で、外国語で食事をすることを指す言葉だそうだ。(もしかしたら死語なのかもしれないけれど)この言葉が生まれた背景には、語学が不慣れな人間にとって外国語で話しながら食事をするのはすごく難しいという事情があるのだろう。

私も1年貿易の仕事をやってヨコメシの経験は数あるけれど、話に夢中で何を食べたかすら覚えていないか、食事に夢中で何を喋ったのかすら覚えていないのかのどっちかである。英語で話す、というだけで脳のキャパシティを使い切ってしまい他のことに全く注意が割けなくなるのだ。

明日インドからうちにお客さんが来られる。いつぞやの展示会で出会った、アグレッシブなインド人ビジネスマンのSさんです。ちゃんと仕事に繋がったので、苦労して展示会に出展した甲斐があるというものだ。

それはいいのだけど、明朝新幹線で来られるSさんを一人でピックアップし、車で1時間ほど離れたうちのオフィスまでお送りする・・というのが私のミッションである。

一人で外国のお客さんを乗せて運転するのは初めての経験だ。ヨコメシならぬヨコドラである。まだそんなに気心の知れていないお客さんと二人、あんまり慣れていない道を英語で会話しながら1時間のドライブ・・・。そしてインド人の英語はすごく聞き取り辛い。不安だらけである。

ヨコメシに失敗して死ぬことはないけれど、ヨコドラで失敗したら十分死ねる。私だってまだ死にたくはないし、Sさんもこんな辺境の地で死にたくはないだろう。ペーパードライバーなみの超安全運転を決意している私です。無事に帰れたら続きます。

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我が家の蟻塚①

読書の秋ですね。

私をファミリービジネスの世界に引きずり込んでくれた妻とは4年前にとある読書会で出会った・・というのが馴れ初めです。(いつか機会があれば交際時代編も書きます。どこにも需要は無いでしょうが・・)

という訳で、我々夫婦の共通の趣味は読書です。基本的に慎ましい生活を送っている我々だけれど、うちの家計は本代にだけは寛容である。本との出会いは一期一会。何気なく読んだ本に人生を変えられることだってあるので少しでもアンテナに触れた本は迷わず購入するし、お互いそれに口出しをしないのは夫婦の暗黙のルールである。

ところが、毎日色々な事件が起こるカラフルな日常を送っている我々は、日々バタバタと忙しい。サラリーマン時代と比べてどっちが忙しいのかは微妙なところだけど、自営業者は24時間仕事にかかっていなければいないプレッシャーがあるのは確かだ。ネットサーフィンやスマホいじりに時間を取られているのも否定できない。本を沢山買うものの、読む時間があまり取れていないのが現状である。

そうしている間にも本はどんどん増えていき、二人暮らしにしてはかなり大きなうちの本棚からは既に溢れ出してしまっている。本棚が満杯になった後は本棚の上に仮置きしていたのだけど、先日遂に天井に届いてしまっていよいよ置き場所が無くなった。今や増えすぎた本達は蟻塚のように我が家の各地に積み上がっている。

本を読む時間を増やすか、読書負債が落ち着くまで買うのを止めるかすればいいのだけど、どちらもできずに我が家の蟻塚はどんどん積み上がっていく。読書の秋だし、そろそろ返済にかからなければ・・

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モバイルベースな人達③

最近導入して一番便利になったものは、ハイテク感ゼロですが「e-fax」(電子FAX)です。

仕事における技術革新は常にまだらに進行するようで、モバイル化の流れが進んだからといって一瞬で全てがモバイルに切り替わることはないようだ。現にうちの会社は「アナログ/デジタル」の二重行政状態であり、この先何十年かは「アナログ/デジタル/モバイル」という三重行政に頭を悩ませることになるのだろう。

FAX問題に話を戻すと、うちの業界ではメールアドレスを持ってらっしゃらない取引先も実は結構多く、FAXは業務上のやりとりを進めるうえで未だ必需品である。FAXはアナログ時代には夢の技術だったのだろうけど、モバイル時代には結構不便な道具になってしまった。(言うまでもなくFAX機が置いてある場所に縛られるので、モバイル化を阻害してしまう)

そんな状況なので、e-faxの導入は割と画期的であった。

・受信したFAXはパソコン・スマートフォンにpdfで届く!

・電子メールを送る感覚で、どこからでもFAXを送れる(スマートフォンからの送信も可能)

そして、そこそこ安い!使用頻度から考えると月980円が高いか安いかは微妙なところだけど、お陰で海外出張中でもFAXのやりとりが出来るようになったのはありがたい。

こういう総務的な仕事も自分でやらないと誰もやってくれないのが、社員4人の会社の辛いところではある。環境整備的な取り組みは後回しになりがちだけど、ちょこちょこ改善進めていきます。次なる課題は固定電話かな~

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モバイルベースな人達②

モバイル端末の技術が進歩していつでもどこでも仕事が出来る時代が到来した。貿易マンにとっては有り難い時代である。それに呼応するように、企業や世間はリモートワークや在宅ワークなど、オフィス以外の場所でも働けることを支援する風潮になってきている。

それはいいことだとは思うのだけど、モバイルベースな働き方は外で働くこと自体を賛美する傾向にあり"快適に"働けるか、という観点が軽視されているんじゃないかなーと思ってしまう。

混雑したカフェで店員に白い目で見られながらカシャカシャパソコンをいじるのが快適だとは思えないし、外出先で運良くWifiにありつける保証はない。Wifiの接続だって一筋縄ではいかないケースも多い。テザリングだって電波環境はまだまだ不安定だし、テザリングしながら働くのであればパソコンかスマートフォンのバッテリーが切れたら即仕事終了である。最悪、電源やワイファイを求めて都会を彷徨う羽目になる。

モバイル用途に特化された小型パソコンやタブレットやスマートフォンで大抵の仕事はこなせるかもしれないけど、フルサイズのキーボードやマウスやテンキーを使った方がもっと快適じゃないか?スキャナやプリンタを外出先で調達するのも難しいだろう。駅のホームの片隅に座り込んでパソコンをいじるビジネスマンなど最近見かけるけど、私の目には不幸な働き方を体現する可哀想な人にしか見えない(ごめんなさい)。

私はパソコンは断然17インチ派であり、いつもでっかいパソコンを背負って義実家に通勤している。妙なところで繊細というか、多少の不便を背負ってでも愛用のパソコンとお気に入りの文具を使って環境の整ったオフィスでないと快適に仕事が出来ない人間なのである。こんな私はモバイル時代には時代遅れとなって取り残されてしまうのであろうか。

不便に思えてもモバイルワークに順応すべきなのか、それとも環境の整った場所で働くことを優先すべきなのか。どちらが正しいのかは分からないけど、モバイルワークに順応する準備は始めないといけないだろう。仕事に役立ちそうなスマートフォンのアプリケーションや、モバイルワークに役立ちそうなグッズなど、可能な範囲でどんどん取り入れて試していこうと思う。

手始めに最近取り組んでいるのが「英語音声入力」。フルキーボードのパソコンがないと仕事が・・なんて甘えたことを言ってないで、外出先でもスピーディーに英語の長文メールを出せるようにスマートフォンの英語音声入力の特訓中です。

・・・何度頑張ってもThank you!Sinc you!(沈めるぞ!)と変換されてしまいます。

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モバイルベースな人達①

パソコンが普及する以前の貿易マンはエアメール(手紙)で仕事上のやりとりをしていたそうだ。手紙が往復するのに早くても1ヶ月。電子メールが普及した今となっては信じられない時代だ。そして電子メールに続くコミュニケーション革命・・とまでは言えないかもしれないけれど、最近はインスタントメッセンジャーアプリがないと仕事にならなくなってきている。

独立系の貿易マン達は世界じゅうを飛び回りながら仕事をするので、常にデスクに座って仕事をする人は少ない。そんな彼らとインスタントメッセンジャーはとても相性が良いらしく、他の業界以上に"電子メール離れ"が進んでいる。

Wechat 中国・東南アジア

LINE  日本・韓国

Whatsapp→インド・中東・東南アジア

・・といった分布です。こちらは複数のアプリを同時にチェックしなければならないため煩雑で結構困っているのだけど、インスタントメッセンジャーへの移行はどんどん加速している。(特にインド・中国のお客さん)

パソコン以上の性能のスマートフォンがどんどん発売されていく中で、パソコンを持たないお客さんもこの先増えていくのかな・・と思うけれど、我々の周辺ではそこまでの変化は今のところ起きる気配がない。電子メール離れは進んでも、大事な書類などはやっぱり電子メールでやりとりをするし、スマートフォンを使ってコミュニケーション以上の仕事(書類作成とか)をするお客さんも登場していない。なんのかんの言ってもビジネス界ではMicrosoftオフィス(Excel,powerpoint,Outlook)がまだまだ覇権を手放さないようだ。

・・とはいえ、脱電子メール/脱パソコンの時代がいつか訪れるのは必然だろう。ホリエモンこと堀江貴文さんは、もはやパソコンを持たずに仕事をされているとか!モバイルベースで圧倒的に生産的な人達がこれからの時代を引っ張るのだろう。いつの間にやら時代遅れにならないよう、モバイルベースの働き方に順応する準備をしなければなーと思うこの頃です。続きます。

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フィリピーノご接待

フィリピンからのお客さんとの商用で横浜出張でした。

先方もファミリービジネスを営んでおり、今回は父・母・娘の3人で訪問してくれました。お会いして一緒に食事をするのであれば、お互いファミリービジネス同士が一番コミュニケーションが取りやすい。

会話をしながら相手を"探る"ポイントは、普通の企業とファミリービジネスでは異なる。ファミリービジネスの世界では、家族の団結や幸福がビジネスの将来性に大きく影響を与える。そのため仕事の話以上に互いの家族の話を熱心に交換する。家族がハッピーで、次の世代に上手にバトンを回せそうな会社とは長い取引が期待できるし、家族不和があったり、次世代に不安がある会社とは自然と取引も薄くなっていく。そのへんの感覚はファミリービジネス業界では世界共通のようでコミュニケーションの勘所にズレがないため話もスムーズに進むのだ。

その点、フィリピンのMさんご一家は同じファミリービジネスと言っては失礼なほど、大変繁栄されている方々であった。お家や車や、家族イベントの写真などを見せてもらうと、日本でもちょっと見ないくらい上質な暮らしをされていらっしゃる。当然ながらメイドさんも大勢抱えておられる。娘が結婚したらもう一人雇わなきゃね~と、まるで家具を新調するかのように語る。

私にオンラインで英語を教えてくれているフィリピン人の先生達は(日本の感覚だと)びっくりする程安い給料で働いておられるのを鑑みると、現地ではケタ違いのお金持ちなんだろうなーと想像する。

インドを除くアジア・東南アジアのお客さんは親日家の方が多いのだけど、Mさんご一家はその中でも特に親日家であった。最近インドの方との会食が多かったせいか、お世辞抜きに日本食を楽しんでくれるお客さんは久しぶりであった。生魚(お刺身)をお客さんと食べられるのも結構レアな経験である。

娘さんは古いものから新しいものまで日本のアニメ・マンガにとても詳しかった。(まさかマンガとアニメの知識が仕事の役に立つとは思っていなかったけど、日本のサブカルチャーにそれなりに精通しているおかげで海外の若い世代の人とは最近すごく話がしやすい)「商用が終わったら絶対オニツカタイガーとイッセイミヤケで買い物するの!」という渋いセレクトであった。

いつか現地で会いましょうねー!と握手をして解散。(いつか現地で会いましょうね!という口約束の負債が溜まっている今日この頃です。)

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バーチャルお義父さんシステム

いつか中古機ビジネスについて書いた話の続きです。

日本国内の印刷業者さんが廃業や買い換えなどの理由で印刷機を手放すことがある。(残念ながら最近は廃業案件の方が多いのだけど)手放されるのは何十年と使用された機械だけど、日本製印刷機はそもそもモノがよく、日本人は機械をすごく大事に扱うので中古でもまだまだ使える。そういった機械に次なる職場を与えることを生業とする業者というものが世間には存在し、我々はその業界の片隅で中古印刷機を海外に輸出する商売をやっている。

海外に販売された中古機は現地ではメーカーのメンテナンスなど受けられないし、そもそもパーツが足りなかったり、機械がちゃんと動かないことだってある。その代わり値段は新台の1/10くらいと激安である。新台では5,000万円くらいの機械が500万円とかで買えるので、どう考えてもお得である。ただ、なにぶん中古なので体感値では3割くらいの確率でトラブルが起こる。値段が高いだけにトラブルが起きたら冷や汗モノだ。メンテが上手く行きトラブルがなく無事に売り抜けることができれば結構儲かる・・というハイリスクハイリターンな商売である。

私の義父はこの切った張ったの中古印刷機業界で何十年と生き抜いてきた人である。知識と経験がモノを言う商売なので、70代にしてバリバリ実務の中心として活躍中である。義父を見ていると、年齢を重ねることで職人的に益々スキルアップしていく仕事もあるんだなーと感じ入る。

・・が、これは印刷業界素人の私には到底辿り着けない領域であり、そのことに私は長らくうっすらとした危機感を抱いている。

その対策の第一弾として、「バーチャルお義父さんシステム」というプロジェクトを立ち上げた。うちの会社の過去の取引をデータベース化して、経験が足りない分をデータで補うことで少しでも義父に追いつこというものだ。

これまでの取引履歴がエクセルとかで残っていたら良かったのだけど、私以外の全員がアナログ人間のうちの会社に残っていたのは、大量の伝票のみ!

目をしぱしぱさせながら、まずは2年分の集計を終えました。こういう地道な作業をコツコツと続けられるのは数少ない私の長所である。大企業の本社で3年間エクセル奴隷のような仕事をやって身についた貴重なスキルです。今となっては感謝しかない。

いつか役に立つ日が来ますように。

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