familybusiness’s diary

家族で貿易商社を営む日々のあれこれ/オンライン読書会はじめました

深圳・上海出張③

深圳のSさんの新事務所に訪問。我々が知る限りで3カ所目のオフィスである。引っ越す度に人が増えて事務所が大きくなっておる・・

朝食会の流れからの大所帯で事務所を訪問するものの、特に何かプログラムがある訳でもなく、ただただ事務所に居座る会だった。事務所や倉庫を自由にうろうろしたり、サンプルを眺めたり、気が向いた相手と談笑したりして過ごす。他のお客さんも続々と訪れ、気がつくとどんどん人が増えていく。結局だらだらとオフィスに居座ること・・およそ4時間。こういうアジアっぽい気楽さは楽しいし、話題が尽きた頃にこそ、ぽろっと面白い話が出たりもする。

 

倉庫訪問

貿易的に気になるのはピカピカの事務所よりウェアハウス(倉庫)。倉庫を見せるというのは相手に手の内を明かすような行為でもある。倉庫の規模から年商が推定できるし、在庫してある商品群から付き合いのあるメーカー、売れ筋商品、取り組みの優先度だけでなく、彼らが提案する世界観のようなものまで見えてくるようだ。えー!いつの間に○○扱ってるの!みたいな商品も多くあった。今後の商売のネタを沢山頂きました。気前よく倉庫に立ち入らせてくれたSさんに感謝。

 

異種格闘技戦のような談笑タイム

Sさんフレンズの一人のMさん。中国浙江省義烏市には4km四方(!)に及ぶ超巨大な問屋街があるという。彼はそのマーケットを隅々まで知り尽くしており、そこであらゆる物を調達して海外に輸出するプロであるという。その世界一の規模のマーケットには無い物は無い。写真さえあればどんな物でも作れると彼は豪語する。メイドインチャイナの申し子のような人である。

一方、150年近い歴史を持つドイツの画材メーカー社長のNさんは中国産の低品質な類似品に頭を悩ませているらしい。そんな水と油のような関係性の人達が集って談笑できるのも、利害関係のないインフォーマルなネットワークならではの面白さなのかなぁと思う。

ド新人A子ちゃん

最近入社された貿易部門のアシスタント、A子さんに挨拶するのも今回のプチ目的の一つ。お会いしてみると大学を卒業したばかりの新卒さんであった。聞くところによると、彼女はSさんの大学の先生の口利きで入社されたそう。Sさんフレンズの話もそうだけど、起業の土台として大学という機関が活用されているのは日本と大分違うなーと感じる。

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夜はいよいよスピーチを頼まれたパーティーにお呼ばれです。

深圳・上海出張②

だいぶ南に移動したので予想はしていたけど、現地は梅雨時の日本以上に蒸しっとする暑さでした。(気温以上に湿度がすごかった。室内で壁が結露するほどの湿度らしい。)

深圳の初日はホテルでの朝食会からのスタートでした。おしゃれな言い方をするとパワーモーニングといったところだろうか。中国では日曜日の朝食を家族揃って外食する習慣があるらしく、ビジネスでも朝食会は結構多いらしい。ホテルの朝食会場は家族連れで賑わっていた。

この朝食会で、この旅で行動を共にすることになる人達と出会った。

一つがSさんの大学時代の友人達。Sさんは大学でグローバルビジネスを学んだそうで、彼らはその頃のご学友である。今回のパーティーの開催にあたり、通訳兼ドライバー兼招待客・・という位置づけでパーティーの裏方を手伝ってくれていたのだ。この旅を通じて移動から通訳から、ものすごくお世話になった。Sさんの抜かりないアレンジに恐れ入る。

Sさんフレンズも多くが卒業後、深圳に出てきてビジネスを始めた若手起業家達である。日本では大学は教育・研究機関の位置づけだと思うのだけど、中国ではビジネスを始めた人達の互助機関のような役割も果たすのだろうか。(後日書くけれど、若手起業家達への人材確保の機能も果たすようだ。)こういうインフォーマルなネットワークも活用しながら、中国の若手起業家たちは成長していくのかなぁと思う。

そしてもう一団が我々を含む、中国以外からの招待客という位置付けの人たちである。我々のほかにはドイツとオーストラリアから来られた画材メーカーの方々、いずれも社長である。ドイツからはご夫婦での参加であった。まさか中国出張で白人の方と長い時間行動を共にするとは思わなかったけれど、彼らにも大変お世話になった。

英語、中国語、ドイツ語、日本語が飛び交うすごい朝食会だったけれど、素敵な人達ばかりですぐに打ち解けることが出来ました。朝食会の後、Sさんのオフィス訪問に向かいます。

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深圳・上海出張①

67日の中国出張より無事に戻ってきました。(今回の出張のいきさつはこちら

家族で貿易商社を営む我々ですが、別に普段の生活は華やかでもおしゃんでもない。むしろすごくミニマルでローカルな毎日である。なのでこういう海外出張の機会は例外的に外界に接触する貴重な機会でもあると言える。新米貿易マンであり海外初心者である私としては、こういう機会に多いに経験を積みたいなぁと思う。

今回の出張の目的は2つ。

一つがSさんの会社の新オフィス開業と10周年記念を祝うパーティーへの参加。もう一つが上海での文具展示会における我々の新商品の売り込みである。

深圳の若手実業家であるSさんと我々の取引は7年ほどになる。Sさんの会社が今年で創立10周年というから、起業当初からの付き合いである。どうやらこの7年のうちに事業規模で我々は追い抜かれてしまったようだけど・・、14億のマーケットを舞台にぶいぶい成長中である。

深圳は大雨。飛行機が2時間遅れたにも関わらず、Sさんは別の会食を抜け出して空港まで我々を迎えに来てくれた。相変わらずの親切さとTシャツセンスである。Sさんの高級車に乗り込み、まずはホテルへ。

中国出張編、長くなりそうです。続きます。

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映画録:万引き家族

是枝監督の最新作、「万引き家族」を見ました。

年金暮らしの老婆に寄生し、万引きや窃盗などの犯罪を生活手段としながら生きる"家族"を描いたお話です。

万引き家族と言っても、果たして彼らを家族と言えるか・・、というのはこの映画の大きな問いかけでもある。なぜなら、彼らは血のつながりを持たない疑似家族である。家出状態の少女や、拾われてきた子供とか、なりゆきで集まった人々に、父、子、祖母といった役割をあてはめているだけだ。けれど犯罪を糧に生きる万引き家族の生活は、ひょっとしたら本物の家族以上に瑞々しく、楽しそうで、愛情に満ちた生活に見える。

しかし曖昧で保障のない、薄氷の上にあるような彼らの生活は、物語の後半で唐突に崩壊していく。

 

この映画が逆説的に描くのは、本当の(血縁)家族の崩壊でもある。万引き家族の人々は皆、血縁の家族から捨てられてきた存在である。最年少メンバーである4歳のじゅりちゃんは元の家族から虐待を受けていたし、祖母役のお婆ちゃんも元の家族からは"捨てられた"と発言されている。

 

ファミリービジネス的に注目したい登場人物は叔母役の少女アキちゃんだ。裕福そうな彼女の本当の(血縁)家族における「オーストラリアに留学しているお姉ちゃん」とはアキちゃんのことだと気づかれただろうか。彼女は万引き家族において唯一、自分の意思と能力で元の家族に帰ることができた存在である。それなのに、万引き家族の崩壊後も、彼女は家人不在の万引き家族のあばら家へ足を向ける。

 

さて、彼女が万引き家族を選んだのは何故だろうか。

私の解釈だけど、万引き家族は互いに責任を負うことのない曖昧な関係である。それは娘だから○○できなければ、そうしないと居場所を与えない、といった家族の構成員としての義務・対価を求めない。そんな居てもいい、居るだけで肯定される、という関係性はきっと彼女にとって何よりも欲しかった物なのだろうなと思う。

 

家族が人々の居場所たり得ない社会。それに対して払わなければならない代償は余りに大きいのだろう。家業を営むものとしては、そんな家族の暗い面からも目をそらしてはいけないなと思う。

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姪っ子氏帰国

姪っ子が帰ってきた!

ドバイ出張ぶりに会った姪は、相変わらず元気いっぱいの幼児である。まだまだ赤ちゃんっぽいところも多いけど、"AしたらB"という因果の概念が分かるようになったことが最大の成長かなーと思う。時、場所の時空の概念が大分しっかりしてきたからだろうか。

・お昼寝したらおやつを食べてもよい

・お姉ちゃんになったら(おしめが取れたら)幼稚園に行ける

・日本で夏を過ごして中東某国に帰ったらお父さんにまた会える

などなど。

しつけの基本である"お約束"も因果の概念ありきのものなので、これからぐんぐん成長するのかなーと頼もしく(少し寂しく)思う。

 

"子供は大人以上の(神聖な)存在"だという考え方は、アジア特有の思想だという話を聞いたことがある。対して西欧の思想では"子供は大人未満の(未熟な)存在"だという考え方を持つらしい。生まれたばかりの子供を法王(ダライ・ラマ)の位に就かせるチベットとかも、そんなアジア特有の思想が表れている気もする。

我々も例外ではなく、まるで姪っ子氏に家族全員がお仕えしているような感じで、子供中心のライフ(ワーク)スタイルに切り替わりつつある。子守生活を一旦エスケイプして、今日から中国に行ってきます。

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深圳・上海出張(準備編)⑥

いよいよ迫ってきました。出張準備編の最終回です。

出張直前のもろもろ

 

*現地で私は100人近い方の前でスピーチをしなければいけないことが判明した。。そして中国には英語を話さない人も多いと聞くので、超今更ながら中国語の勉強を始めた。学生時代に3年も学んだはずの中国語の知識は欠片も残っておりませんでした。(必修の中国語の単位を2回落としたので3年学ぶ羽目になったのです)今から胃が痛い。

 

*パッキング(荷物の準備)も佳境を迎えている。仕事で海外に行くとなると荷物が多い。旅行だとまだ楽なのだけど。

まずはお土産類。Sさんの会社へのお土産、奥さんやお子さんへのお土産、それにパーティーへの提供を頼まれた景品類などを合わせると、それだけでスーツケースの半分以上が埋まる。小さく喜ばれそうな物は中々見つからず、出張の度にお土産選びは悩みの種である。それに商談資料とスーツ一式を合わせると夜逃げのような荷物になってしまう。

今回持って行くお土産たち

・獺祭(日本酒)

・ヨックモック(お菓子)

・アートボード

・ベビー服  ・・などなど。

 

*旅に持って行くと重宝するもの

1、ユニクロのライトダウンジャケット

初夏の出張ではあるけれど、防寒具は必須アイテムである。これは飛行機内対策。高度が100m上がるにつれて気温は0.6℃下がると言われているので、夏だろうが冬だろうが飛行機の中は寒い時がある。ユニクロのライトダウンジャケットはコンパクトに畳めるし暖かいので重宝している。

2、手で圧縮するタイプの衣類圧縮袋

衣類は空気を抜くとすごく小さくなるので荷物が多い時に衣類圧縮袋は活躍する。3日分づつくらいに衣類を分けて圧縮しておくと後で楽である。旅先で洗濯しない時は、汚れ物を衣類圧縮袋に入れておくと衛生的でもある。

3、大型モバイルバッテリー

時に携帯のバッテリーは最大の命綱なので、モバイルバッテリーは10,000mAhの大型の物を持ち歩いている。海外初心者としては旅先で携帯の電池が切れた・・なんて考えるだけでも恐ろしい。

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Ramadan Kareem!

先期、うちの会社は中東が絶好調であった。昨年の秋口から中東方面の売上が急激に伸び始め、不調の中国を補って業績を大いに助けてくれた。ドバイに出張に行ったり義妹一家が中東某国に引っ越したのも重なり、昨年は中東の世界が急に拓けたような一年であった。

・・が、今期に入ってから中東方面のオーダーがピタリと途絶えた。先期は飛ぶ鳥を落とす勢いだったのに今期に入ってから中東方面の売上は、ほぼゼロである。。。

ライバル商社に売上を横取りされてしまったのか、もしくは気づかぬ間に我々がイスラーム的な禁忌を犯して嫌われてしまったのか・・、と思ってしまう程の急ブレーキである。

ハラハラしながら催促を繰り返し、やっと事情が判明した。原因はラマダーンでした。

 

ラマダーンとはイスラム教の重要な宗教行事。1ヶ月続くこの時期、ムスリム(イスラム教徒)の方々は日が昇っている間の断食を決行する。水も禁止である。より敬虔な方は、灼熱の国でなんと唾も飲み込まないそう。(日没後はイフタールと呼ばれるご馳走を食べるそうだけど)他にも様々な宗教的な制約があり、勤務時間は短縮され、ワークタイムもあまり働かないらしい。

この時期は仕事が進むはずもなく、設備投資などは勿論不可能。それを見越してアラブ系の企業は4月くらいから買い控えを始め、今期の我々の注文が長らくストップした・・という事情であった。

 

中国&華僑圏の旧正月やヨーロッパ諸国のクリスマスなど、国によってホリデイシーズンはあるけれど、ラマダーンはそれと気合いの入り方が全然違うようだ。

ようやく先日ラマダーンが明けて、アラブ諸国ではイード・アルフィトルと言う盛大なお祭りが開催されている時期です。ビジネス面でもようやく注文がもらえそうな気配が出てきました。

ということで、アラブ諸国は今が攻め時!頑張ろう。

 

 

ビジネスに影響するホリデイ&宗教行事文化圏(ざっとしたイメージです)

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