familybusiness’s diary

家族で貿易商社を営む日々のあれこれ/オンライン読書会はじめました

深圳・上海出張(準備編)③

スピーチの件は未だガクブルなのだけど、深圳・上海という都市について理解を深めておこうと思い簡単にまとめておきます。

上海

群馬県とほぼ同じ広さのエリアに常住人口2,400万人を数え、首都北京を抑えて中国最大の都市。これはニューヨークを超える規模であり、同時に外国籍人口30万人を数える世界一の国際都市でもある。

元々貿易都市としてスタートしている歴史があり、主要産業の一つは貿易。上海港は2010年にシンガポールを抜いて取扱量世界一の港になった。弊社の中国の売上は減速気味だけど、貿易的には上海は未だ世界一の市場である。

貿易と並ぶもう一つの産業が金融。ドバイやシンガポールのように、東アジアの経済を取り仕切る金融都市である。上海センターは世界第二位の高層建造物であり、世界一高い展望台があるそう。交通面では驚異的なスピードで開発を行い、世界最速のリニアモーターカーと世界一営業距離の長い地下鉄を整備したとか。最近では世界最大のスタバが開業したらしい。

意外な事実としては、上海は世界一の"教育都市"でもある。直近のPISA(国際学習到達度調査)では、王者フィンランドを抜き去りダントツの世界一を記録した。

世界都市ランキングでは15位で、3位の東京とはまだ差がある。けれど日本の経済成長が1%前後をうろつく中、上海の今後5年間の経済成長率の見通しは6.5%。インフラのパンクを防ぐため人口制限を行う案も検討されるなど、まだまだ絶賛成長中の都市なのだ。

深圳まで行き着かなかった。続きます。

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深圳・上海出張(準備編)②

輸出をメインでやっているうちの会社は、こっちから用事を作らない限り海外出張の機会はそんなに多くない。(輸入する側は機械のコンディションを事前にチェックしたり買い付けの価格交渉をしたり、具体的な用事があることが多い)

なので私は仕事で海外に行った経験は数える程も無い。未だに海外から電話がかかってくるだけでびびる日々である。

とはいえ中国は初めてではないし気心の知れた相手だし、今回の出張はまあ気楽なものである。Sさんの会社の新しいオフィスを冷やかしたり、スタッフさんもまた増えたらしいのでその人達との顔合わせぐらいがメインの用事かなーくらいに思っていた。上海蟹を食べる時間があるかどうかの方が問題である。

 

そんなぬるい気分でいた矢先にSさんからメールが届いた。

〜〜〜、maybe you need to give a speech over there Ha~

 

ん!

 

スピーチ!!?

 

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深圳・上海出張(準備編)①

6月に深圳・上海に出張に行くことになりました。

定期的にマンガを催促してくる中国のSさんの話を覚えていらっしゃるだろうか。

個性的なお客さんに恵まれているうちの会社であるが、中国のSさんはその中でも特に個性的な方である。

ビシっとスーツでお会いする中国のお客さんは少ないのだけど、SさんはドラもんのTシャツで日本にやってくるような人である。人の良さそうな丸顔もあいまって、そのラフさに思わず吹き出しそうになる。

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・・が、仕事は迅速丁寧。何をするにもマメで段取りが良く無駄がなく、かといってビジネスライクになりすぎず、とても気持ちよく仕事の出来る方である。

それだけでなく、彼は2種の中国語に加え、とても綺麗な発音でペラペラと英語を話す。我流英語を使う方お客さんが多い中、ここまで綺麗な英語を話すお客さんは珍しい。そしてなんと日本語も使いこなす。「日本語は勉強中デスネ~」とのことだが、日常会話程度であれば全く問題ない。うちの会社で日本語を扱えるお客さんは彼だけである。

要するに、見た目に反して結構やり手なのである。ベンチャー企業の副社長のようなポジションで会社の成長を支え、何度もオフィスの引っ越しを繰り返しながらアジアンドリームを実現中である。

そんな彼等の会社がこのたび創立10周年を迎えることになった。その節目に、取引の長い我々を記念のパーティーに招待してくれた・・というのが今回の深圳・上海出張のいきさつです。続きます。

読書録:コンテナ物語③

コンテナ物語の読書録の続き。これで最後です。

お話のスケールはぐぐーっと小さくなるけれど、最後に我々ファミリービジネス貿易業におけるコンテナとの関わりについて。

海外のお客さんに商品を輸送する際、何百キロという重量の印刷機械は船でしか送りようがないのでコンテナ輸送にお世話になっている。

コンテナは20feet(6m)、40feet(12m)、ハイキューブ(背が高い)の3タイプを使い分けている。小さいやつ、大きいやつ、背が高いやつ・・くらいの選択肢しか無いぶん、余計な悩み事が少ないのは良い点かもしれない。

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ただ、我々のような薄利""売の商売をやっている業者としては、いかにコンテナをぱんぱんにして船に積むか・・というのが死活問題になってくる。最小サイズの20feetコンテナでも機械を1台積んだだけではスカスカなので3台、4台とかき集めて輸送費率を下げないと利益が出てくれないのだ。(このへんの見込みを誤ると下手したら赤字である。)

複数台の機械を万が一にも壊れないようにしっかりとコンテナの内部に固定し、なおかつ隙間なく積み込んでもらわないといけないのだけど、この作業(バンニングと言います)はけっこう職人技の世界らしい。

なので、今回職人技を駆使してコンテナに5台の機械を積み込んでくれたからといって次回も同様に5台積んでくれるとは限らない。作業を行う方の熟練度にもよるし、その時々の忙しさにもよるし、作業の安全性を重視する会社の方針や行政指導など様々な要因が絡むのだ。

「今回は4台しか乗り切らないから、1台諦めてくださいねー?」「えー!そこをなんとかー!」というやりとりも割としょっちゅう起こっている。

自前の倉庫を埠頭の近くに持っている大企業などはこんな悩みなどないのだろうけど、我々のような零細業者は少しでもバンニングが上手い業者や担当者を捕まえるしかない。コンテナの登場によって貨物の輸送コストは1/60に削減されたらしいけれど、輸送費削減の戦いが終わる日は未来永劫来ないのだろうな・・と思う。

 

コンテナを1台船積みするだけでも、ドラマとまでは言わないけど結構な数の人間が関わる。そんなコンテナを5,000個も積んだ船が何百隻も世界の海を巡っていると考えると、改めてすごい時代だ。

読書録:コンテナ物語②

「コンテナ物語」読書録の続きです。長いです。

 

ものの本によると、イノベーションとは「技術的イノベーション」「非技術的イノベーション」のいずれかに大別されるという。コンテナリゼーションは、そのどちらに分類されるのか悩むところである。

なにしろコンテナ自体はただのでっかいアルミのハコである。ただ、コンテナを輸送するためのコンテナ船や高速クレーンまでをその範疇に含めるのであれば、技術面での恩恵は大きい。

けれど、本書を読むとコンテナリゼーションの真髄はむしろ、イノベーションなんて起こりようがなかったガッチガチの運輸制度を破壊・再編したことだということが窺える。そういう意味ではコンテナリゼーションは制度的(非技術的)イノベーションである。

コンテナリゼーションが起こる直前の海運業界は、以下の3重の枷を背負った、実に非イノベーティブな業界であった。(というか、生産性向上のメリットが無い業界であった。)

第一に、政府の保護と規制

当時の米国の運輸業界は公益性の観点から、政府の介入が極端に厳しい業界であった。港の開発はほとんど政府の公共事業であったし、過度な値下げ競争が起こらないよう運賃の値下げも厳しく規制されていた。

第二に、船会社同士の同盟

民間である船会社は複数社で同盟(カルテル)を組み、盟外の船会社を露骨に排除することでカルテルを強固に維持していた。輸送価格はカルテル内の談合で決められていたため、船会社は価格を乱すことなく既得権益を山分けすることが出来ていた。

第三に、労働組合の存在

コンテナリゼーションが起こる以前の海運業界は、実に労働集約的な業界であった。なにしろ、全ての積み荷を一個づつ人力で積み込んでいくという、18世紀頃のスタイルからほとんど変わっていなかった。港の労働者達を束ねる労働組合はスト権を盾に強い交渉力を持っていた。省人力化による生産性の向上などもってのほかだったのである。

上記の三重の枷に守られ(縛られ)ているお陰で、安穏と既得権益を分け合うことのできる業界だったのだ。

そんな硬直した海運業界に風穴を開けたのがマルコムマクリーンという人物。彼はトラック運輸会社の経営者であり、海運業界では全くの門外漢であった。けれど、門外漢だからこそトラック・汽車・船をひっくるめて"モノを運ぶ"という観点から横断的な発想が出来たのだろうか。彼の誇大妄想的なアイデアはどんどん広がり、そして現実のものになっていく。

トラックを貨物ごと船で運ぼう!

いや、トラックの荷台部分だけを切り離して船で運べばいい!

そうじゃなくてコンテナというハコを作って船で運ぼう!

コンテナをトラック・船・列車で運べるように規格を統一したらいいじゃないか!

港に大型クレーンを建設してコンテナ仕様に改造しよう!

コストを更に下げるために高速船を作ろう!

高速船は燃料費が高い!じゃあ超大型船を作ろう!

復路の貨物積載率が低い?世界一周航路にすればいいじゃないか!

ここまでの変化が実現されるまでに20年とかかっていない。多くのイノベーションは実現する途上で既成のシステムに潰されてしまうものなのだろうけど、コンテナリゼーションのような圧倒的なイノベーションだけは例外なのだろう。様々な障害に阻まれながらも、世界はたった20年で"コンテナ仕様"に作り替えられていった。そしてコンテナの威力を読み誤った人々・港・国々は成長に取り残されて衰えていった。最終的にはマクリーン率いるユナイテッドステーツ海運は12億ドルの負債を抱え破産したが、それでもコンテナリゼーションは止まらなかった。

その影響は全産業に及ぶけれど、例えば服飾業界。米国では60年代には国産の衣類は95%であったが、現在ではなんと国産の衣服は3%以下だという。なんというかこれはもう、資本主義のルールが書き換わったと言っても差し支えないくらいの大きな変化である。

コンテナリゼーションによって貿易は一気に拡大し、その影響は今日まで続いている。船の大きさから事業規模まで数字の巨大さにくらくらするお話だらけだったけれど、この業界の隅っこで飯を食っている人間としては読むべき本だった。もうちょこっと続きます。

 

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雑記:貿易初心者のデスクトップ②

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貿易初心者のデスクトップ・・アナログ編。基本的に机の上に余計なモノは置きたくない派なのだけど、それだけに卓上に常駐する小物達は厳選している。

 

①猫のテープラー

大昔に友人から頂いて以来ずっと大事にしているテープラー。猫派の私には素晴らしい和みアイテムなのだけど、小巻(20m巻)のセロテープに対応するタイプで自立するテープラーって意外と少ない。邪魔にならないしかわいいし愛用している。

②コンテナ船のカレンダー

貿易の仕事は貨物の搬入日、通関書類の提出日、船の出港/着港日・・・と複数の締め切りを意識しなければいけないので、カレンダーをにらむことは多い。わたしが愛用しているカレンダーはどこかの船会社のノベルティのコンテナ船の形をしたカレンダーです。デザインの満足度は満点なのだけど、板に差して立たせるタイプなので書き込みがやや不便。

③ワイヤレス充電器

新しいiphoneから対応になったワイヤレス充電は予想以上に便利。デスクにいる時間は常に充電しているので携帯の充電切れを気にすることがなくなった。ワイヤレス充電器の上が携帯の定位置に定まったので、携帯が行方不明になることがなくなった・・という効果もあった。

次点はスキャンスナップ(スリムタイプの卓上スキャナ)。なにごとも形から入るタイプです。

雑記:貿易初心者のデスクトップ

今日も雑記です。

ようやくパソコンのデスクトップまわりが安定してきた。ひょっとしたら誰かの役にたつかもしれないので公開します。

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①壁紙

疲れ目予防のため、基本的に各種ソフトはダークモードに設定している。ダークモードに違和感なく、貿易っぽい壁紙を苦労して見つけた。デザインも気に入っているのだけど、"ミャンマー"のスペルって何だっけ・・という時にも意外に役に立つ。

②各種アイコン

フリーアイコン素材を使って、壁紙に合うようにアイコンを統一している。ほぼ、ただの趣味だけど常駐させるものを可視化するとデスクトップの散らかり防止になります。

③世界時計

Worldwatchというフリーソフト。必要に応じて表示する国を自由に調整でき、デザインを自由にいじれる。ワークタイムでない国は表示色を変えているので、「この人はまだ寝てる時間だから後回し・・・」という判断に重宝している。

④カレンダー

リリーカレンダーという、グーグルカレンダーと同期するデスクトップカレンダーを使っている。妻とグーグルのアカウントを共有しているので、お互いの用事を簡単に照会できるようにしている。ただ現状、外出がそんなに多くないのであまり活躍していないような気が。

⑤各種IMアプリ

ばんばん連絡が来ると嫌なので極力IMアプリの連絡先は交換しないようにしている。似たようなサービスなのにインド以西=Whatsapp、中国=Wechat、タイなど=LINEと・・相手に合わせて使い分けが必要である。各種チャットアプリをまとめられるクライアントとかあればいいのに。

MSNマネー

ドルで取引をするお客さんもあるので為替相場を確認できるデスクトップアプリを導入したいのだけど、最適なものが未だに見つかっていない。仕方なくMSNの標準アプリ「マネー」を使っているのだけど私には機能が多すぎる。(ついついしょうもないニュースに見入ってしまう。)

⑦翻訳ソフト

Translatiumという、Google翻訳と連動したデスクトップアプリ。英語が未熟な私には必須ソフトであるが、英語だけでなくドイツ語や中国語を解読する時にも役に立つ。

Stickynote

公式アプリ。基本ですね。便利です。

 

パソコンのデスクトップなどには興味がない妻には、必死こいておしゃれデスクトップ画像を探す人の気持ちは理解できないらしい。人によってこだわりどころは違うのだ。

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