familybusiness’s diary

家族で貿易商社を営む日々のあれこれ/オンライン読書会はじめました

マレーシア出張③

マレーシア出張記の最終回です。

インドのお客さんの運転で、マレーシアを南に2時間爆走してマラッカに到着。現地の印刷工場、製本工場を幾つか案内してくれた。マラッカはヨーロッパの影響を強く受けた地域らしいのだけど、案内してもらった工場は全て中華系であった。社名も中国語であれば、従業員の方も皆中華系。心なしか街並みも中国っぽかった。

工場の視察が無事に終了した後、中華系の現地のセールスマンの方が簡単な接待をしてくれた。壁の無い簡素な作りの中華料理屋さんで、オープンカフェというよりは日本で言うところのちょい飲み屋のようなものだろうか。一人で来てたらまず入る勇気が出ないようなお店に連れて行ってもらえるのは役得とも言える。ここで私は世にも珍しい光景を見た。

ご存じ世界で一番"押しの強い"人達である中国人は、接待の際も押しが強い。食べきれない程の料理と酒でテーブルを埋めるのが彼らの歓迎の気持ちである。(日本もこの文化圏に属しているのだけど、我々でも驚くほどの食べ物を並べてくれる)

そして、インド人も中国人と負けず劣らず押しが強い人達である。彼らは食事に対してすごく保守的な面があり、海外に行っても自国の料理以外のものを食べる方はほとんどいない。

さて、、どんな相手にも強引に中華料理を振る舞う中国人が、どこに行ってもカレーしか食べないインド人を相手にするとどうなるか・・?

「これ食べなよ!美味しいから!食べなよ!」

「ノー!ベジタリアンだから食べない!」

「野菜料理を頼んであげたよ!!ベジタリアンでも食べれるだろう!ほらほら!」

「ノー!お腹いっぱいだからいらない!」

「一口くらい食べれるだろう!美味しいからトライしてみようよ!」

「ノーサンキュー!!」

・・とても接待とは思えない光景であった。両名とも自国の食文化に強く誇りを持ってるのは偉いなぁと思わないでもないけれど。

最強の矛と最強の盾の争いの結末はインド人の勝利で、結局大量に並んだ料理を彼らは一口も食べなかった。私は大量に残った料理を(お腹壊しませんように!)と一心に祈りながら全部平らげる羽目になった。(しかも貝料理)

そんなこんなで出張も終わり、記念写真を撮ってお別れしたインド人ディーラー達には後からすげー苦労させられる羽目になるのだけど、それはまたいつかの機会に・・・

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マレーシア出張②

マレーシア出張記の続き。

マレーシア出張と言っても、今回の商談相手はマレー系の人達ではなくインド系のビジネスマン達である。マレーシア生まれのインド系エンジニアと、このためにわざわざインドからベテランセールスマンお二人が来てくれた。ハングリーで賢くしたたかなインド系ビジネスマン達はインド本国だけでなく、近隣諸国でも大いに幅を利かせているのだ。

以前ドバイに出張したときもお客さんは全員インド系だったし、最近の商売相手のインド率がぐんぐん上がっている。私の30代・40代はインド人を抜きには決して語れないものになるのだろう。こじんまりした普通車におじさん5人が同乗し、目当ての機械がある工場まで送ってくれた。

商談はまあ無事に終わり、ランチタイムである。マレーシアには「ニョニャ料理」と呼ばれるマレー文化と中華文化が融合したとても豊かな食文化がある。密かに楽しみにしていたのだけど、残念ながら今回はニョニャ料理に触れる機会はなかった。なぜならばインドの人達はあれほどアグレッシブな人達でありながら、食事にはすごく保守的なのである。海外に行ったからといって異国の料理を食べることはまずなく、どこの国にも必ず存在するインド人向けのレストランを利用するか、奥さんが作った"おべんとう"を大量に持参して自国の食文化を頑なに守るのだ。

勿論我々もそれに合わせるのがマナーであるのだが、最近インドの方との会食が続き、インド料理ばかり食べている気がする。。美味しいけどね。今回もランチはインド料理。バナナの葉に乗った大盛りのビリヤニでした。スプーンも出ない本格的なインドレストランで、手掴みで頂いた。

ランチ後、仕事熱心なインド系ビジネスマン達は「ついでに他の機械も見てくよねー!」と、マラッカまで我々を案内してくれることになった。(片道2時間の距離だということを知っていたらちょっと考えたのかもしれないのだが)おじさん5人を乗せた普通車は不吉な音を立てながらマレーシアの高速道路を南へ爆走するのであった。

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マレーシア出張①

あけましておめでとうございます。(遅)

無事にお正月休みを終え、今年も元気に働きはじめております。

正月ボケも冷めやらぬ1月上旬、マレーシアに出張に行ってきました。今回の出張はかなりの弾丸出張。出張が決まった翌日に出発、そして滞在時間約34時間という強行軍である。

ずうっと長いことお客さんから購入したいとリクエストを受けていた機械があった。目当ての機械が中々見つからずに困っていたのだけど、他のお客さんを介してその機械がなんとマレーシアで発見された。結構珍しい機械であり、良いコンデシションのものも少ないので奇跡的な幸運と言える。

滅多にない好機を逃さず商談をまとめるために、急遽マレーシアに飛ぶことになった・・というのが今回の出張のいきさつである。今回の出張は初の義父との二人旅。

出張が決まってから大慌てで飛行機やホテルの手配や荷物の準備。お金さえ払えば海外渡航のチケットなど当日でも取れる・・というのも海外経験の浅い私には新鮮な経験であった。

関西空港-クアラルンプール国際空港間はエアアジアというLCCが就航しており、格安で渡航することが出来る。(2人で往復8万円程度)

現地には朝4時の到着。気温は29℃。明け方の到着なので、今回は空港からホテルまでのハイヤーを事前に手配。(この旅では空港ハイヤーを初めて利用した。値段はタクシーの倍くらいするのだけど、時間の限られている弾丸出張ではタクシーでぼったくりに逢うリスクや空港で迷う心配がないのは大きい。)

朝の6時にホテルに到着。ホテル天国のマレーシアでは日本の相場の4分の1くらいの価格でそこそこの高級ホテルに泊まることが出来る。この旅唯一の役得であった。人の少ないホテルのレストランで朝食を食べてまずは仮眠。起きたら早速仕事です。続きます。

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年末進行②

年末日記その2。

年末進行でドッタバタしている中、念願の姪っ子氏が帰国した!姪っ子氏が里帰りしていた夏のことを思いだしてびびる我々であったが、今回は大人6人に3歳児1人である。会わないうちに姪っ子氏も成長してるだろうし事前に出来る限り仕事も片付けたし、まあ心配しなくても大丈夫かなーと思っていたが・・決してそんなことはなかった。

4ヶ月ぶりの姪っ子氏は赤ちゃんっぽさが大分抜けてとても賢く成長していたのだが、それと同時に「自分がこうすると決めたら絶対こう!」という断固たる意思力を身につけていた。

気に入らない服は絶対着ない。食べたい物は何としてでも手に入れる。髪を切りに行くのも断固拒否。そして(有り難いことに)遊ぶ時は必ず私をご指名である。現地の幼稚園の先生にExtremely strong personality!(こいつマジ頑固!)と評された鋼の意思で私を指名してくれるので、他の大人が制止しても私が居る時は私が姪っ子氏担当である。お陰で私は姪っ子氏を肩車しながら英文メールを書くという年末を迎えていた。

***

そんな年末の大騒動の最中、インドからお客さんが来た!どんなに忙しい時であろうと、遠路はるばるお客さんが会いに来てくれるのはいつだって大歓迎である。

・・が、あいにく義父はスケジュールが合わずこの日は私一人でお相手をすることになった。一人でお客さんのご接待をするのは初めての経験である。機械に関するマニアックな質問や、微妙なラインの価格交渉とかされたらどうするのか。そもそも私の拙い英語が通じるのか・・など不安だらけであった。

今回来てくれたのは南インドの技術者2名。幸いにも両名ともに顔見知りであったし、お二人ともとても良い人であった。大量の資料・写真を持っていったお陰で、商談はまず順調に終わった。心配していた英語については、お互い同程度の英語レベルであった。写真やスマートフォンを見せたり、伝わるまで繰り返して喋ったり、お互いの協力によってなんとかカタコトコミュニケーションを成立させることが出来た。

後半は3人でビールとビリヤニ(インドのパエリアのようなもの)を食べながら、最近観たインド映画の話やインド市場に関する会話をして、まぁつつがなく終わった会であった。もう少し盛り上がっても良かったような気がするけれど、これは私のせいなのか向こうのキャラクターなのか分からない。(技術系の人は国を問わず寡黙な人が多い)

ということで初めての一人ご接待ミッションはなんとか完遂。残された最後のチャレンジは一人海外出張だろうか。バタバタとしながらも、なんとか本日仕事納めを迎えることが出来ました。

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年末進行①

絶賛、年末進行中。ここ数週間、珍しく余裕なくバタバタ働いている。(それでも業務量的にはサラリーマン時代の繁忙期の方が大変だったような気もするけど、何度も言うけど大変さの質が違う。)

今年は12/27仕事納めが目標。うちの会社のリードタイム(注文をもらってから商品を出荷するまで)は大体1週間から1ヶ月程度なので、今の時期に頂く注文は仕事納めにひっかかってしまう可能性が出てくる。そのため年内に出荷しようとすると、どうしても前倒しで進めなきゃならなくなる。そして年末は物流・生産関係も大混雑になるので予想外のトラブルも増える。

そろそろ来年に回す案件の調整をしなきゃなーと思いつつ、出来る限りの出荷を年内に終えて気持ちよく正月を迎えようと悪戦苦闘している。

そんな繁忙期の真っ只中であるが、明日から中東某国在住の義妹一家が日本に帰ってくる!

我が家のアイドルである姪っ子氏が帰ってくるのはとても嬉しい。夏に比べたら短い帰国だけど、たくさん日本らしい思い出を作らせてあげたいと思う。

姪っ子氏はこの秋より中東某国の幼稚園に通い出した。数少ないアジア人ということもありクラスでは断トツの小柄である。そして言葉のハンデもあるはずなのに西洋系・中東系の子供達を相手に全く怯むことなく武勇伝を積み重ねているとの噂だ。たくましく成長した姪っ子氏に会えるのは楽しみだが・・仕事のことを考えると少し恐ろしかったりする。

最大の繁忙期に、最大の(?)チャレンジ到来である。無事に仕事納めを迎えられますように。

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警戒心を持って働くこと②

しばらく滞りました。年末らしい忙しさがじわじわと押し寄せて来た。。

ビジネス上の詐欺から身を守るよう、警戒心を持って働くこと。大企業のサラリーマンとして働いた10年間ではあんまり身につかなかった能力だけど、今の仕事ではすごく重要な能力だった・・という話の続きです。

 

私が日常的に遭遇する詐欺あれこれ。

 

スパムメール

実害は小さいのだけど頻度は圧倒的に多い。99%のスパムメールは見てすぐに分かるのだけど、思わず返信しそうになってしまう"名作"が届いてしまうことが数ヶ月に1回くらいある。世界中の不特定多数の顧客を相手にしているうちの会社は特に、迷惑メールにひっかかる可能性も決して低くはないので油断は出来ないなぁと思う。

ちなみに私が入社する前、うちの会社の人達は迷惑メールをフィルタリングするという技術がなかった為に膨大な量のスパムメールの中から仕事に必要なメールを掘り出しながら働いておられた。。(遠い目)

 

サンプルどろぼう

お宅の会社の商品に興味があるからサンプルを送ってくれ-!と言われ、いざ送ったら連絡がつかなくなるパターン。送ったサンプルは転売してお小遣いにでもしているのだろうか。詐欺かどうかのチェックに時間をかけすぎて新しいビジネスが停滞するのも問題だし、そもそも詐欺目的かどうかを判別するのが不可能に近いので防御が難しい。被害額といっても少額なので、ある程度必要経費として割り切るしかないか・・と半ば諦めている。

 

ビジネスビザ取得詐欺

貿易界にはよくある古典的な詐欺。日本へのビザ(渡航許可)を取得しようと思ったら、日本での渡航保証人による一筆(招待状、インビテーションレターとか言います)が必要になる国も多い。そのため、架空のビジネスの用事をでっち上げて日本の人に招待状を作らせる・・という詐欺が横行している。スパムメールなんかと違って向こうも真剣に騙そうとしてくるので注意が必要。これに引っ掛かったら日本に不法滞在外国人を増やすことになるし、犯罪の片棒を担いだとして最悪一緒にお縄になったりするのだろうか。商談が不自然にトントン拍子に進むときは特に要注意。

 

商品どろぼうorお金どろぼう

現地に商品を送ったのにお金を払わず逃げられた。前金が必要と言われ振り込んだら逃げられた・・という詐欺。貿易をやるなら一番注意しなきゃいけない詐欺だろう。頻度も多いし被害もストレートに大きい。ネットの普及以降、顔の見えない取引が圧倒的に増えたので防御の難易度も上がっている気がする。要注意ワードは"政府ご用達案件"。詐欺師が好んで使う表現らしい。そして決して悪気はないのだけど、中国、インド、ナイジェリアが絡む案件は無意識に警戒レベルが上がってしまう。

社歴が長かったり、業界内に付き合いの多い会社はこういった詐取の心配が少ないだけ安心と言える。(社歴の長い会社にとってはメリットよりデメリットの方が圧倒的に大きい。少なくとも顧客を1件確実に失うことになるし、意外に狭い業界なので悪い噂は一気に広まる。)

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警戒心を持って働くこと①

少し話題が古いですが、積水ハウスの地面師詐欺事件に注目しています。

住宅大手の大企業、積水ハウスが地面師という土地専門の詐欺グループに欺され63億円もの被害を出してしまった・・という驚愕の事件です。63億円って、、うちの会社の何年分の売上だよー!

事件の成り行きは報道の通りなのですが、私が注目しているのはこの事件、事前にいくらでも防ぎようがあったらしい・・、ということです。

例えば取引を行った不動産ディーラーの住所が架空の住所であること、地権者になりすました女性がご本人とは似ても似つかずパスポートも全くの偽造であること・・などはいくらでも確認手段はあっただろう。けれど積水ハウスは事実関係の裏を取るどころか、本物の地権者から何度も警告があったのに無視、さらには顧問弁護士の忠告も無視して巨額の振り込みを強引に成立させてしまっている。もう内部に裏切者がいるんじゃないかと疑ってしまうくらい杜撰なリスク管理である。

この事件の原因の一つに、この取引が積水ハウス社内において早期の段階で"社長承認案件"になってしまったことが挙げられるそうだ。社長のお墨付きの案件はなんとしても成立させなければいけないプレッシャーが社内に強く働く。そのせいで取引のチェック機能がマヒしてしまった・・ということだ。元サラリーマンとしては、この気持ちはよく分かる。

もう一つ私が想像するのは、大企業相手にそんな大袈裟な詐欺を行う人なんてまさかいないだろう・・という油断があったのではないだろうか、ということ。大きな企業だと一つの取引に実に多くの人間が関わる。営業部門だけでも担当、直属の上司、そのまた上司と何人もの人がチェックを行うし、経理や法務の専門部署も関わる。そんな厳重なセキュリティ体制の会社に詐欺を働こうと思う人はまずいない。思えば私もサラリーマン時代、まさかこの業界に詐欺を行う人なんているはずがない!という感覚で仕事をしていた。ルートセールスだったので積水ハウスとは事情が違うが、前の会社が詐欺に遭ったなんて話は聞いたことも無かったし、想像したこともなかった。

騙そうとしてくる人に鈍感になってしまうというのは、致命的な大企業病かもしれない。前の仕事と今の仕事の大きな違いの一つに、詐欺からは自分で身を守らないといけない(誰を信用するかしないか、自分で判断しなければならない)ということがある。大企業では見えてなかった景色だけれど、世の中にはこちらを騙そうとしてくる人など別に珍しくもない。

何度も言うけどfamilybusinessを営むうちの会社には4人しか人がいない。小さな会社だけに、もし詐欺に遭ったらその被害は全て自分達で被ることになる。取引相手が本当に信頼出来る人なのかどうか・・というのを見極めるのにはまさに生活がかかってくるのだ。それが出来なければ、私は家業をこなすことが出来ないだろうと感じている。続きます。

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