読書録:そのひとクチがブタのもと
「そのひとクチがブタのもと」という本を読みました。なかなか挑戦的なタイトルだけど、原題は"Mindless Eating"。
Food Psychology(フードサイコロジー/食の心理学)というと大袈裟だけど、我々の食欲がいかに曖昧なもので環境に流されやすいかということを多数の研究結果を元に解説した本です。欲しいと思った時は既に絶版本だったので、1冊4,000円というプレミア価格で買わざるを得なかった。寛大な妻ならばきっと許してくれるだろう。。
私たちは自分の食欲を自分でコントロール出来ていると思い込みがちだけど、食欲を自分でコントロールできている人はほとんどいない。この傾向は、年齢や偏差値や所得などに影響を受けず、全ての人に当てはまる。
まず、人間は「食べ終わり」をコントロールするのがすごく苦手である。我々の食事の完食率は92%らしい。つまり出された物はだいたい完食する。大皿で大量の料理を提供されたら、例え満腹になっても目の前に食べ物がある限り食べ続ける。映画を見ながらポップコーンを食べると映画が終わるまでポップコーンを食べ続ける。7人以上で会話しながら食事をすると、驚くことに普段より96%も多く食べ過ぎてしまう。そんな理由で、テレビの視聴時間と肥満率は綺麗に正比例する。
そして、我々はほとんど無意識に食べ始める。目の届くところにキスチョコがあるだけで3倍以上も多く手を伸ばしてしまうし、家の中の行動導線上にキャンディーを置くと、無意識に手に取ってしまう。こういう行動が積み重なると「行動シナリオ」と呼ばれる食習慣ができあがる。朝は新聞を読みながらシリアル、休憩時間にはチョコバー、夕食後テレビを見ながらポテトチップスとビール、お祝い事にはチョコレートケーキ・・・などなど。「行動シナリオ」は、空腹感とは無関係のところで我々の食事を強制する。誰しも心当たりがあるのではないだろうか。
ちょっとした、習慣的な、何気ない、一口、一つまみが何百回と積み重なると多分10年後にはすごいことになる。逆もしかりで、食欲の本質を理解したり、「行動シナリオ」をポジティブなものに書き換える努力は日々の過ごし方の中で行っていかなきゃいけないな。
代謝も落ちてきた30代前半だからこそ、改めて意識しなければ。ちょっと続きます。