familybusiness’s diary

家族で貿易商社を営む日々のあれこれ/オンライン読書会はじめました

インドについて②

インドについて思うこと。続き。

インドの国教はカースト(階級)の思想があるヒンドゥー教だけど、この思想はインド在住でなくても強い影響を持つようだ。そのため、インド系の会社では同族内での序列関係が結構はっきり分かれている。これは単なる職務上の序列とは明確に異なり、なんというか彼らのアイデンティティに迫る根の深さを感じる。例えば"目上"と認識している方が同席すると、普段は遠慮なく"ぐいぐい来る"インドの方でも同席者に気を遣ってめっきり喋らなくなったりする。ヒンドゥー教の方に限ったことでなく、非ヒンドゥー教の方であっても本家筋、分家筋といった血族内での序列関係も発言力にかなり影響している様子だ。

"大家族型"のファミリービジネスを営むインド系の企業は、会社組織のようなカタい上下関係に縛られずに平等である・・という訳ではなく、カーストや血筋といった決して覆らない上下関係によって厳しく統制されているとも言える。利害関係が仕事上の付き合いだけでない人々で集まって組織を営む上での知恵でもあるのだろう。

インドに限った話ではなく、こういう風土は一昔前の(人材採用が市場化される前の)日本にもあったのだろう。日本にカースト制はないけれど、長幼の序(年功序列)という上下関係の概念は今でも有効だし、"排他性""所与性"といった当時の日本の共同体のルールは、ヒンドゥー教の思想に裏打ちされたインドの組織と共通点が多い。

日本においてこのルールは商家や村落、武家社会を維持する為に絶対的に必要なものであったのだけど、「社会」という概念が輸入された明治以降、少しづつ形を歪めて今に至った歴史があり・・という話はさすがに脱線なので、またいずれ書きます。

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