familybusiness’s diary

家族で貿易商社を営む日々のあれこれ/オンライン読書会はじめました

自宅オフィス開業②

自宅オフィスを開設するにあたって導入した物たち。

1、ブラザーのプリンタ DCP-J988N

貿易は書類が全ての世界。必然的にプリンターの稼働率が高く、大事な仕事道具である。ところが最近の家庭用プリンターは小型、高品質印刷を謳ったものが多く、インクカートリッジの色数が不必要に多かったり、カセットに格納できるコピー紙が少なかったりする。用途に合わないプリンターを買ってしまうと、プリンターのお守りに不要な時間を取られてしまう。

・印刷のクオリティにはそこまでこだわらない

・メンテの必要が最小限で使いやすい

・紙切れ、インク切れを気にしないで済む

・・という私のニーズに基づいた調査の結果、ようやく見つかったのがブラザーのプリンタ DCP-J988N。

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このプリンターの最大の注目ポイントは超大容量のインクカートリッジである。(インク容量が標準モデルのなんと16倍という、規格外の大きさ!)

 

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家庭用プリンターはインクカートリッジで収益を上げているというのは周知の事実だと思うが、このプリンターのカートリッジは採算度外視のハイコスパである。インクの色数は6色や7色が主流の中、潔い4色。そのぶんメンテが楽である。お陰で導入から3ヶ月経った今でもインクを交換していない。今となっては手放せない相棒である。

 

2、ヤマダ照明のデスクライト

なんだかんだデスクワークが多いので、目の健康を守るためにもデスクライトも慎重に検討した。疲れ目を軽減するデスクライトの条件は、光の明暗が少なく、手元の陰が出来にくいものであるらしい。そのため、①出来るだけ高い位置から②広い角度で照らす必要があるそうだ。

流行りのバルミューダとかも興味があったけれど、私はLEDライトが苦手なので除外。そもそも、LEDライトを除外すると選択肢は驚くほど少なかった。最終的に購入したのは山田照明というメーカーのデスクライト。大きく両手を広げたような形のデスクライトである。存在感はすごいけど、お陰で目の疲れは大分軽減されている気がする。LEDではなく蛍光管のライトメーカーさんもこの先、生き残ってて欲しいなぁと思う。

 

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3、ダーツ板

私は考えが煮詰まってくると家中をうろうろする癖があり、割と妻のストレスになっていた。そんな私のうろうろ防止のために導入したのがこちら。

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ダーツライブはスマートフォンが液晶の代わりになって、何十種類ものゲームや点数計算に対応している。最近は集中が切れてきたら1ゲームダーツを投げて気持ちを切り替えることにしている。お陰で私のうろうろも減って、家人に迷惑をかけることも少なくなってきた。

ソフトダーツ(矢の先がプラスチック)なので賃貸の壁にも安心・・・と思っていたら失敗したら普通に穴は空く。早く上達しないと退去時に大変なことになりそうだ・・

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自宅オフィス開業①

私の自宅は大阪の堺というところにあり、妻の実家まで車で片道20分ほどの道のりを日々通勤している。家族4人で運営しているうちの会社はコミュニケーション量が大変豊富であり、事務所はいつも賑やかである。

家族で集まって喧々諤諤としながら働く時間も楽しいし大切なのだけど、一人こもって黙々と作業をこなす環境も必要になってきた。貿易の仕事は書類業務とか煩雑なルーティンワークが結構多く、そういった作業をまとめてこなさないと回らなくなってきたのだ。そのため、ようやく自宅に仕事部屋を作ることを決意した。

実は我が家には元々自宅オフィスにするつもりの部屋があるにはあったのだけど、長らく倉庫状態のまま放置されていた。開かずの間と化した部屋は、もはや開けることすら勇気が必要なくらいの乱れっぷりであった。。

大量の不要品をゴミ処理場に運ぶところから始まった自宅オフィス計画であったが、まる4日ほど時間をかけてなんとか完成した。

 

3年ごしに実現した自宅オフィスでの働き心地は、劇的に快適!

である。自宅オフィスは私の作業効率のみを考えて備品の選定から家具の配置まで一から考えることができた。私のワークスタイルに必要な環境を事前によくよく考えて設計したお陰で、理想のデスクまわりを実現することができた。

そして自宅オフィスの最大の利点は通勤からの解放である。通勤しなくてよいということは、出掛ける支度もしなくてよいということだ。起きたら寝巻きのままパソコンに向かい、作業メインの日は終日自宅にこもって働いたり、ワークスタイルも柔軟になった。(夕方まで寝巻きだったりします)ただでさえ少ない仕事のストレスは今やゼロレベルに近づいた。早く作ればよかったと思うほどに快適である。最高! 

続きます

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読書録:リトルピープルの時代

*読書メモ

リトル・ピープルの時代

宇野常寛の評論3部作(・・と勝手に呼んでいるのだけど)の2冊目。

「ゼロ年代の想像力」の課題の中心が911同時多発テロ以降の世界であるとするならば、「リトル・ピープルの時代」の評論を駆動するのは東日本大震災がもたらした社会の(想像力の変質)だろう。

震災の混乱の中、私達は唐突に原子力という脅威を突きつけられた。原発問題の脅威がこれまでの国家的脅威と異なる点は、それが外部から現れた脅威ではなく我々の日常に内在し、そのために単純に排除することが出来ない点だ。

そして震災が起きた時代は、情報ネットワークの力によって無数の接続と無数の分断が生まれた時代でもある。GAFA企業の躍進に代表されるようにグローバル資本主義が台頭し、国家以上の力をもった巨大企業群がインターネットで世界中の情報と世界中の個人を繋いでしまった。張り巡らされた情報ネットワークは、まるで鉄条網のように無数の分断を生んだ。

原発問題という社会の内部に存在する脅威、インターネットの無数の接続が生む無数の対立(その極端な表出がテロの連鎖)。私達は、新しい時代の新しい課題を対処可能な政治(社会システム)も無ければ、有効な生き方も持たないまま時代の変化に振り回されるままに生きている。その混乱の本質は、新たな時代の新たな課題に、私達の想像力が追いついていないからである。本作では、震災以後の世界を捉えるための手法として、村上春樹、仮面ライダー、ウルトラマンを同時に批評するという実にアクロバティックな論法を展開する。

・・これだけ書くとまるでトンデモ本か悪い冗談のようだけど、これは真剣に我々の現在を論じる本だ。なぜならば、我々の想像力の限界を論じるためにはフィクションを論じることは欠かせない。市場の要請に応えることが存在意義である商業作品は、時代の空気を正確に反射する。ウルトラマン、仮面ライダーといった子供向け作品に描かれる世界は、まるで雨上がりの水たまりのように世界の歪みを映し出すのだ。

 

***

 

本作は、「歴史」や「国民国家」といった大きな物語がギリギリ成立していた時代、すなわち冷戦末期の1968年まで遡って論を始める。かつて「国民国家」とは明確な思想と物語を持ち、擬人化されることが可能な存在であった。誰もが共有出来る歴史を背負った国民国家は国民の父(=ビッグ・ブラザー)として機能していた。その後の冷戦構造の終結、消費社会・グローバリゼーションの到来など現在まで続く変化によって、国家に対して国民全員が共有できる「歴史」や「国民国家」といった大きな物語は成立しなくなってしまった。価値観の多様化、と簡単に言うには大きすぎる変化である。

そんな大きな物語の崩壊は、アイデンティティ不安の時代を経て、大きな物語を持たないまま誰もが小さな物語を生きる小さな父=リトルピープルとして機能してしまう時代を迎える。そしてリトルピープルの時代は、インターネットの力を借りながらますます極端に向かい、無数の小さな父=リトルピープルが無限に衝突し合う世界へと突き進んでいる。

本書では、このビッグブラザーの時代リトルピープルの時代の価値観の転換を追いながら村上春樹論を展開する。

初期(80年代)の村上春樹は、ビッグブラザーが徐々に崩壊する時代における倫理のあり方としてデタッチメント(距離を置く)という態度を提示し、それに成功した作家でもあった。それが「僕」一人称の世界において、ナルシシズムを記述する文学世界である。

その後、春樹はデタッチメントという文学的態度を転向することになるのが、「ねじまき鳥クロニクル」(95年)以降の春樹の文学的苦闘(迷走)は、リトルピープルの時代における課題(無数の小さな父が衝突し合う時代の暴力)を扱う想像力を生み出せない点にある。

そんな近年(海辺のカフカ、1Q84あたり)の村上春樹が直面している文学的課題(=リトルピープルの時代における課題)の正体を、本書ではウルトラマン、仮面ライダーという作品が通過した変質(特に、平成仮面ライダーの奇形進化)を通じて明らかにしていく。

平成の仮面ライダーは、"いわゆる"仮面ライダーとは大きく異なっている。例えば、「仮面ライダー龍騎」という作品では13人の仮面ライダーが各々の願いを実現するためにヒーロー同士のバトルロイヤルを繰り広げる。この作品は、無数の正義が対立する時代(リトルピープルの時代)を直接的に描いている。

もしくは、過去の仮面ライダーを召喚したり、過去の作品の仮面ライダーを身に纏って戦う「仮面ライダーディケイド」という作品がある。まるでウィキペディアをひくように戦うヒーローの姿は、歴史なき時代の歴史の在り方(ビッグブラザーなき世界)を象徴している。

・・などなど、平成の仮面ライダーは、偉大なる作家の想像力以上にこの時代を正確に映し出している。本書では、これらの流れを詳細に追いながら、リトルピープルの時代像に迫っていく。それは村上春樹を迷走させた文学的難題であると同時に、我々が未だ答えを出せていない社会の課題でもある。

いち春樹読者としては、なぜ"ねじまき"以降の村上春樹が読めなくなったのか・・、という疑問に対して実に納得性のある理解を与えてくれた。いち市民としての悩みは深まるばかりだけど、子供向け番組の枠内で13人のヒーローが殺し合う時代の奇形性には自覚的であるべきだなと感じる。

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読書録:ゼロ年代の想像力

宇野常寛氏の評論にハマっております。

マンガもアニメもインターネットも好きなのになぜか宇野常寛氏に触れる機会がこれまでなく、お正月にやってたNHK特番「平成ネット史(仮)」で初めてお顔と名前を認識した。番組の中で同氏の発言がとても納得度の高いものであったことで興味を持って初めて評論家であるらしい、ということを発見(?)した。

そんな経緯で彼の評論集3冊、「ゼロ年代の想像力」「リトル・ピープルの時代」「母性のディストピア」に出会い、「とても大事なことが書いてある本だ!」と直観して読み始めた。3冊重ねると鈍器のような分厚さで、割と読書家の私にしても辛い分量と内容の濃さであったが、メモを取ったり参考資料に目を通したりしながら飽きずに通読することが出来た。分厚くて面白い本に出会えるというのは人生の幸福の一つだ。

 

*読書メモ*

「ゼロ年代の想像力」(2008年)

宇野常寛のデビュー作となった評論集。本書のタイトルにもあるゼロ年代は、小泉政権による構造改革(小さな政府路線の民営化や、雇用の流動化)が推し進められた時代であり、911世界同時多発テロが起こった時代でもある。そして本書の発刊後にリーマンショックが起こることになる。そんな時代背景は、ポップカルチャーの想像力にも大きな陰を落としていた。しかし、90年代の影響に引きずられたままの当時の評論界は、ゼロ年代を語る言葉を持たなかった。本書は、既に古びてしまった90年代の批評を退場させ、ゼロ年代の想像力を論じることを目的とする。

 

宇野常寛が指摘する、90年代の古い想像力とは何か?

それは「頑張っても報われない」「だから何もしない」という、引きこもり/心理主義である。その社会背景を象徴するのは、平成不況の長期化(頑張っても豊かになれない)と、95年に発生したオウム地下鉄サリン事件(生きる意味が分からない)。そんな時代の雰囲気を、95年新世紀エヴァンゲリオンでは「ロボットに乗って戦うことを拒否するパイロット」(社会的自己実現を果たすことの拒絶)、「世界を救うことより母親的な少女からの愛・承認を求める主人公」という描写で描き出した。

東浩紀のセカイ系論など、この時代を評論する言葉は確かに当時の論壇には存在していた。しかしゼロ年代に入って既に、「頑張っても豊かになれない」「生きる意味が分からない」ことを"前提"とした作品群が誕生していた。それが同書で語られる"ゼロ年代の想像力"である。

ゼロ年代の想像力とは何か?

それが氏が、サヴァイブ系(のちにカードゲーム系?)と評する作品群である。

ゼロ年代を代表する作品として挙げられる作品は、「DEATH NOTE」。この作品で主人公は、大人(社会)が自分の生きる意味を保証してくれるなどとは微塵も信じておらず、大量殺人を犯すことで彼の正義を追求する。

「頑張っても豊かになれない」「生きる意味が分からない」だから引きこもる、というのが90年代の思想であれば、「頑張っても豊かになれない」だから他者を蹴落とす(サヴァイブ)「生きる意味が分からない」自分の正義を決断する(決断主義)。というのがゼロ年代の主人公である。その価値観においては、"引きこもる若者"は体制への反逆者ではなく真っ先に蹴落とされる弱者でしかない。聖域なき構造改革に代表されるゼロ年代の社会情勢は、我々の想像力に「引きこもっていたら殺される」という影響を与えた。

本書はそんな状況認識のもと、マンガ・アニメ・映画・テレビドラマといった幅広い作品群を手がかりにこの時代における課題に対峙していく。その課題とは、決断主義が陥る排他(暴力)の問題であり、90年代から続く自己承認の幼児的な追求が無自覚に陥る性暴力の問題でもある。

彼の的を得た時代認識もさることながら、どこまでも暴力と思考停止を嫌悪して"考え抜く"彼の姿勢が私はとても好きである。その後、「リトル・ピープルの時代」「母性のディストピア」に続くに至り、評論はどんどん辛口(?)になっていくけれど、時代の難しさと真摯に向き合っている証拠なのかなぁと思う。

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読書会開催記④

読書会開催記、最終回です。

そもそも人が集まるか不安なイベントであったが、予想外の追い風のお陰で蓋を開けてみれば告知開始2週間で満席御礼であった。素人イベントにしては快挙である。(増席という手もあったけど、運営が不安なので今回は30人で締め切った。)

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そして迎えた当日。当日の運営は、当時読書会を一緒に運営していた仲間達と、その彼女様がありがたいことに手伝いに来てくれた。各テーブルのファシリテーション(班長?)が主な役目であるが、忙しい中時間を割いてくれて会場の設営から受付まで手伝ってくれ、感謝至極である。我々夫婦だけではとても手が回らなかった。

イベントの開催時刻が迫り、ぼちぼちと人が集まってくる。初開催のイベントなので全員初対面である。参加者の皆さんも緊張されていただろうが、我々だって緊張している。・・が、集まってくれた方々は知的で気さくな方ばかりであった。中にはプロのコメディアンの方や車のデザイナー、本にまつわる事業を企画されている方や、我々など足元にも及ばないほどのガチな読書家の方などなど、読書会を開かなければ出会えなかったであろう素敵な方も沢山来てくれた。

私の司会のまずさは置いておくとして、ファシリテーターの流石のトーク力のおかげでイベントは大盛況。盛会のうちにイベントが終了しても、なんと誰も帰らない。仕方なく二次会会場を探して夜の心斎橋を私は一人走り回ることになったのだけど、これは嬉しい誤算と言うべきだろう。

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後日アンケートの結果、参加者満足度は10点満点のうち、8.4点!上々の数字である。

この勢いで第二回に繋げよう・・!と思っているうちに、このイベント最大の不幸が訪れた。今回、イベント会場を太っ腹に貸し出して頂いた心斎橋のスタンダードブックストア様が、なんと 閉 店

・・そう、実は同店は建物の契約満了による立ち退きを秘密裏に進めていたのだ。イベント主催者というよりいちファンとして愕然とする事態である。

大好きな書店の閉店を悔やむよりも、お店が閉店される前にイベントを開催できたことを喜ぶべきだろうか。素晴らしいお店はいつまでもそこにあるとは限らないということを改めて教えられた。次回の読書会に向けて、振り出しに戻って会場探しからスタートする我々であった。。

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読書会開催記③

読書会の開催が予想外にスムーズに決まり、慌ててイベント告知の準備に取りかかった。

まずは告知のために告知文と告知画像(アイキャッチ画像)を作成。あまりガチな感じにならず、そしてチャラくもなく・・、オシャレな書店の雰囲気を壊さない告知文を考えるのは難題であった。

苦難の末に出来上がった告知文がこちら。アイキャッチは私の好きなカフェからデザインイメージを拝借したのは内緒である。

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恥ずかしながら企画書を作り始めたのは告知を始めてからであった。時間配分、テーブルの配置などの大枠から備品リストの作成と手配など細部にわたるまで、やることはかなり多い。地味な作業に終われる日々が続いた。

 

会場配置図や、備品リストなどなど

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告知文と画像が出来上がった頃、なんと社長のご厚意でスタンダードブックストアのホームページにイベントの告知を掲載して頂けることになった!超有名店である同店のホームページは、おそらく数万人の方が見ているメディアである。

予想通りのメディア力で、ホームページに掲載された直後から怒濤の申し込みラッシュであった。定員を軽くオーバーするペースで申し込みが止まらず、またしてもびびる我々であった。

 

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読書会開催記②

読書会開催記の続きです。

読書会を開こう。・・と決意したものの、ほとんどゼロの状態からイベントを開くのは大変だ。具体的には、①会場、②参加者(を集める方法)そして③企画(イベント内容)の3つを確立させなければイベントは成立しない。

特に難しいのは②参加者をいかに集めるかだろう。イベントを開いても参加者がいなければ意味がないし、逆に参加者さえ集まっていれば③企画が不十分だったり①会場が多少不便でもその場のノリでなんとか上手く行ったりする。貴重な資産である時間とお金を割いてまでイベントに来てくれる人を20人も30人も集めるのは簡単なことではない。SNSやホームページで告知をしたとしても、開催実績の無い読書会にどれだけ人が集まってくれるかは謎である。集客が未知数であれば①会場も決められない。下手すれば大赤字である。

・・などと書くと段々弱気になってしまいそうであるが、私が最終的に行き着いた結論は、「関西で本が好きな人であれば誰もが知っている素晴らしい会場を確保する!」という作戦であった。読書会の知名度がゼロであるぶん、参加を後押ししてくれるような素晴らしい会場を確保することが出来れば自然に人は集まるはず・・?という大胆な仮説のもと、まずは最高の会場を抑えることを最優先の目標として動き始めた。

私の中で第一希望として真っ先に挙がったのが、大阪/心斎橋にあるスタンダードブックストアという書店である。この書店は私と妻の初のデート場所・・というどうでもいい情報は置いておくとして、関西で本が好きな人ならまさしく誰しもが知っているアイコニックな書店である。イベント会場にもなる大きなカフェスペースを併設する。こちらの書店のカフェスペースでは、毎日のように出版記念イベントやトークショー、本にちなんだワークショップが開催されている。有名どころでは谷川俊太郎からASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文、イラストレーターの中村祐介まで、そうそうたる文化人が登壇したこともある。

そんな書店で素人かつ実績ゼロの私がイベント開催の相談をするなど、無謀というか畏れ多いというか恐縮しかないのだけど、よくよくホームページを見てみるとイベント会場としてのカフェスペースの貸し出しもされているそうだ。私は勇気を出して飛び込み営業をしてみることにした。まずは社長に飛び込み電話。しかし社長がお忙しいそうで、お電話は中々繋がらない。(その当時、社長がお忙しかった理由は後に判明する)

その後、読書会の様子が分かる写真と開催意図をメールでお送りして待つこと約1週間。なんとすぐに開催OKを頂くことができた!あまつさえ、書店のホームページにイベント告知まで載せて頂けることになった。お会いしたこともない素人なのに、頼んだこちらが驚くほどの懐の深さである。感謝と恐縮が入り交じる興奮が落ち着いた頃、後戻り出来ない状況になったことを自覚して若干焦る。そしてイベントは走り出しました。

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