familybusiness’s diary

家族で貿易商社を営む日々のあれこれ/オンライン読書会はじめました

ジタバタすればキャパは広がる

海外のお客さんより、「~の○○がどうしても欲しいんだけどなんとか手に入らないかー!」という依頼が舞い込むことがある。往々にしてこの手の案件は簡単に手に入る物ではなかったり、代理店の都合で簡単に流通出来ない事情があったりと、一筋縄ではいかない場合が多い。数多くの業者がギブアップした結果うちに回ってくるような案件も多い。

微笑ましいエピソードでは「ガラスの仮面の最終巻がどうしても欲しいんだけど・・!」と聞かれたことがある。(お気の毒ですが未完の作品です・・としか答えようがない。)

こういうイレギュラーな案件は取り組もうと思ったら大変だし面倒だし、難題を解決できない場合の方が多い。ただ、しつこく頼んでくる案件は確実に海の向こうで誰かが困っているということでもある。具体的な困り事が目の前にある案件は、それを解決してあげることさえ出来れば即売上に繋がるし、市場/顧客ともに開拓できるチャンスとも言える。

先日機械を買ってくれたお客さんから、その機械を動かすのにどうしても必要な部品を探している・・というお話を受けた。調べてみると市販されているものではなく、なおかつ結構古い部品でもありメーカー在庫も無いようだ。ただ、お客さんはその部品がどうしても必要なようで、何度も頼んでくる。正直そこまで助けてあげる義理もないといえばなかったのだけど、アフターサポートの一環として手伝ってあげることにした。安請け合いだったと後から後悔することになる冒険の始まりであった。

・目当ての部品を探すため、付き合いのある仕入れ業者に依頼するもNG。結局自力でネットで探す羽目になった。

Amazon×、、Alibaba×、、ヤフオク×、、全然見つからない。長い長いネットサーフィンの末、アメリカ版のe-bay(メルカリの元祖のようなオークションサイトです)でようやく目当ての商品を発見した。

・早速e-bayに登録し、アメリカから部品を調達しようとしたところ問題発生。出品者が海外への発送を受け付けていないのだ。こちらで配送を手配するのでなんとか売ってくれ~と交渉するも、先方の理解力の問題かこちらの言葉の問題か、交渉が遅々として進まない。

・弱りながら色々調べると、PlanetExpressというサービスを発見。小口配送専門の輸出代行業者で、登録料と簡単な手続きを済ませれば私専用のアメリカの住所(配送専用の住所)を作って日本への配送を代行してくれるとのことだ。ありがたいことに結構安い。

・急いでPlanetExpressの登録を済ませ、e-bayでの落札手続きは完了。カリフォルニアにある私のアメリカ住所に商品が届くのを待っているところです。(これ以上トラブルが起きませんように)

・・かくして私はe-bayの使い方を覚え、数日でアメリカの住所までゲットした。個人輸入業者デビューである。先の見えない道を進むような苦労はあったけれど、面倒事に飛び込むことで、少しづつキャパは広がっていくのだ。この経験がいつかまた役に立つと信じよう。

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時差問題と働き方

family businessを営むうちの会社には定時などという概念は無い。必要であれば深夜早朝でも働くし、仕事さえ片付いていれば世間的なワークタイムに働く必要はない。

元サラリーマンとしてはラッシュアワーの満員電車に乗らなくて済むのは大きな喜びだし気楽と言えば気楽な働き方なのだけど、健康を維持しながら働き続けるにはそれなりの自律心も必要である。貿易という仕事柄と日本の時差の条件のせいでワークスタイルが夜型に傾きがちになってしまうのだ。

最近は特にインド・ヨーロッパ・北米のお客さんとやりとりを交わす機会が多いのだけど、

日本 9時:インド530分、ドイツ深夜1時、アメリカ17

日本12時:インド830分、ドイツ深夜4時、アメリカ20

日本18時:インド1430分、ドイツ10時、アメリカ深夜2

・・という時差関係である。

午前中の時間帯、うちのお客さん達は早朝か終業後であり、海外から連絡が入ることはあまりない。逆に15時~24時あたりがお客さん達のワークタイムに一番被る時間帯である。

一日の仕事を終えて夕食を食べている時にせっかちなインド人から携帯にメッセージが入ることはしょっちゅうあるし、夜中にふとメールをチェックしたらアメリカからの嫌なメールが来ていて緊急対応せざるを得なかったこともある。お客さんとタイムリーにやりとりをしようとすれば夜型のほうが都合が良いのだ。

こういう事情もあって、最近は17時頃に一旦仕事を終えて、寝る前にまたちょっと仕事を片付けるという働き方になっている。時差に文句を言ってもしょうがないのだけど、1日の仕事を終え、夕食後のゆったりとした休息の時間・・というのが許されないのは個人経営貿易業者の宿命である。お客さんの都合に合わせているとどんどん宵っ張りの不健康な働き方になってしまうので、なんとか改善しないといけないのだけど。

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我が家の蟻塚②

蟻塚をめぐる我が家の戦いの話の続きです。

読書会で出会ったことをきっかけに結婚したこともあり、"読書夫婦"を自称している我々ですが、ここ最近はかなりお恥ずかしい読書量であり、蟻塚まみれの日々を贈っている。

読書夫婦の名前に恥じない読書量を取り戻すために、「本を贈る」という書籍の刊行記念イベントに参加してみました。

編集・装丁・校正・印刷・製本・取次・書店と、1冊の本が読者の手元に届くまでの各過程に携わる職業人によるエッセイ集。大阪の書店で開催されたイベントの参加者は14人ほどで、恐らく1/3ほどが出版業界の方と身内の方であった。場違いにも結構マニアックなイベントに参加してしまった。

ゲストは本の製作に関わった編集者・装丁家・製本家の皆さん。いち消費者(読者)としては、本はついつい作家個人の作品だと思ってしまうけれど、1冊の本が世に出るまでには実に多くの人が関わる。例えば装丁家は表紙のデザインを考えるだけではなく、本のサイズから使用する紙まで、総合的なディレクションを行う。そしてデザインが決定した本を大量生産ラインの乗せる工程である印刷・製本は、素人では絶対に真似できないような職人芸の世界だったりする。

一番印象に残ったのは、この本を製本するときに製本所の担当女史の判断で本の外装の背表紙部分に使う紙だけを0.1mm薄くした・・というエピソード。そうすることによって、紙の吸湿による本の反りを最小限に出来るとの判断だったそう。きっとそんなことに気づく読者(消費者)は世界で一人もいないのだろうけど、そんな誰も気づかないような職人芸の集積が日本の出版文化のレベルの高さを支えているのだ。

本は、書き手から読者への"手紙"という詩的な側面もあれば、大量生産の工業製品という側面もあるという珍しい商品である。そして、消費者の手元に届くまでにこんなに多くの工程を挟む商品も他に無いだろう。

出版不況と言われるようになって久しい。確かに1,500円でパジャマが買える時代に1,500円の本は高いかもしれない。けれど出版不況の波の中、出版業界の誰も知らないところで輝く職人芸が絶滅してしまうことは日本人にとっても大きな損失だろう。

出版印刷業界の隅っこで生きるビジネスマンとして、そしていち読者として、この文化を陰ながら支えていかなきゃなと感じた。

 

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横ドラが怖い話②

人生初の横ドラ、なんとか無事に生還しました。

同乗してくれたインドのお客さんは現地に巨大な倉庫と数十人の従業員を抱える大きな会社の経営者。20歳くらい歳上の方である。

新大阪駅からうちの事務所までお客さんと二人で1時間程のドライブ。直前まで事故って死ぬんじゃないかと本気で心配していたのだけど、いざ本番となると会話も運転も案外スムーズであった。私の語学が少しは成長したのか、それとも英語で話すしかない状況に追い込まれると言葉はなんとかなるものなのだろうか。

往き道はSさんの身の上話を聞かせてもらった。Sさんは元々、叔父が印刷工場を営んでいたことがこの道に入る契機になったそうだ。インドにはSさんのように親戚筋を巻き込んでゆるやかなコングロマリットを形成するという"大家族型"のファミリービジネスを営む方が結構多い。"核家族型"のファミリービジネスを営む我々としては参考になる話を沢山聞かせて頂いた。

もう一つ盛り上がった話題は日印の物価の違い。一番衝撃的だったのは、インドでの携帯電話の料金。電話かけ放題、4Gネットワーク使い放題で現地でのお値段は・・なんと250円!日本の携帯料金は高いという話は聞いたことはあるけど、衝撃的な価格差である。格安SIMなんかで喜んでいる場合でもない気がする。

帰り道は、互いの文化の違いについて突っ込んだ議論が出来た。お題は「ラブ・マリッジ(自由恋愛)の日本と、アレンジド・マリッジ(お見合い結婚)のインドはどちらが幸せか?」というもの。

インドでは75%がお見合い結婚。子供の結婚相手は親が決めるのが一般的だそうだ。最近はお見合いアプリなども普及しているらしいけど、もちろん使うのは親である。結婚前に婚約者と接触することはなく、結婚はぶっつけ本番。婚前の性交渉は文化的に厳しく禁止されている。

それで結婚生活が上手く行くのか不思議であるけど、Sさんの結婚生活は大変幸せそうである。子供の結婚に親・親戚・地域の人々・宗教的関係者の全員が関与して結婚生活を支援するので不幸になりようがない仕組みになっているとのことだ。毎朝早起きしてスパイスを挽いてカレーを作る奥様をは大変誇っていらっしゃった。

平成に生きる日本人の感覚としてはどうしても信じられないインドの結婚文化であるが、全部自由にしていいけど自分でなんとかして結婚相手を見つけてね。そしてどんな結果になっても自分で責任とってね。家族は手助けしないからね・・という日本の文化も日々沢山の不幸を生んでいる気がする。日本の結婚文化をかいつまんで説明すると、それこそ「信じられない!」という顔をされた。

無事にSさんを目的地に送り届け、無事に帰還。今度は一時的に日本語が不自由になる私であった。

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横ドラが怖い話①

横飯(ヨコメシ)という言葉がある。

元々は駐在員用語で、外国語で食事をすることを指す言葉だそうだ。(もしかしたら死語なのかもしれないけれど)この言葉が生まれた背景には、語学が不慣れな人間にとって外国語で話しながら食事をするのはすごく難しいという事情があるのだろう。

私も1年貿易の仕事をやってヨコメシの経験は数あるけれど、話に夢中で何を食べたかすら覚えていないか、食事に夢中で何を喋ったのかすら覚えていないのかのどっちかである。英語で話す、というだけで脳のキャパシティを使い切ってしまい他のことに全く注意が割けなくなるのだ。

明日インドからうちにお客さんが来られる。いつぞやの展示会で出会った、アグレッシブなインド人ビジネスマンのSさんです。ちゃんと仕事に繋がったので、苦労して展示会に出展した甲斐があるというものだ。

それはいいのだけど、明朝新幹線で来られるSさんを一人でピックアップし、車で1時間ほど離れたうちのオフィスまでお送りする・・というのが私のミッションである。

一人で外国のお客さんを乗せて運転するのは初めての経験だ。ヨコメシならぬヨコドラである。まだそんなに気心の知れていないお客さんと二人、あんまり慣れていない道を英語で会話しながら1時間のドライブ・・・。そしてインド人の英語はすごく聞き取り辛い。不安だらけである。

ヨコメシに失敗して死ぬことはないけれど、ヨコドラで失敗したら十分死ねる。私だってまだ死にたくはないし、Sさんもこんな辺境の地で死にたくはないだろう。ペーパードライバーなみの超安全運転を決意している私です。無事に帰れたら続きます。

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我が家の蟻塚①

読書の秋ですね。

私をファミリービジネスの世界に引きずり込んでくれた妻とは4年前にとある読書会で出会った・・というのが馴れ初めです。(いつか機会があれば交際時代編も書きます。どこにも需要は無いでしょうが・・)

という訳で、我々夫婦の共通の趣味は読書です。基本的に慎ましい生活を送っている我々だけれど、うちの家計は本代にだけは寛容である。本との出会いは一期一会。何気なく読んだ本に人生を変えられることだってあるので少しでもアンテナに触れた本は迷わず購入するし、お互いそれに口出しをしないのは夫婦の暗黙のルールである。

ところが、毎日色々な事件が起こるカラフルな日常を送っている我々は、日々バタバタと忙しい。サラリーマン時代と比べてどっちが忙しいのかは微妙なところだけど、自営業者は24時間仕事にかかっていなければいないプレッシャーがあるのは確かだ。ネットサーフィンやスマホいじりに時間を取られているのも否定できない。本を沢山買うものの、読む時間があまり取れていないのが現状である。

そうしている間にも本はどんどん増えていき、二人暮らしにしてはかなり大きなうちの本棚からは既に溢れ出してしまっている。本棚が満杯になった後は本棚の上に仮置きしていたのだけど、先日遂に天井に届いてしまっていよいよ置き場所が無くなった。今や増えすぎた本達は蟻塚のように我が家の各地に積み上がっている。

本を読む時間を増やすか、読書負債が落ち着くまで買うのを止めるかすればいいのだけど、どちらもできずに我が家の蟻塚はどんどん積み上がっていく。読書の秋だし、そろそろ返済にかからなければ・・

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モバイルベースな人達③

最近導入して一番便利になったものは、ハイテク感ゼロですが「e-fax」(電子FAX)です。

仕事における技術革新は常にまだらに進行するようで、モバイル化の流れが進んだからといって一瞬で全てがモバイルに切り替わることはないようだ。現にうちの会社は「アナログ/デジタル」の二重行政状態であり、この先何十年かは「アナログ/デジタル/モバイル」という三重行政に頭を悩ませることになるのだろう。

FAX問題に話を戻すと、うちの業界ではメールアドレスを持ってらっしゃらない取引先も実は結構多く、FAXは業務上のやりとりを進めるうえで未だ必需品である。FAXはアナログ時代には夢の技術だったのだろうけど、モバイル時代には結構不便な道具になってしまった。(言うまでもなくFAX機が置いてある場所に縛られるので、モバイル化を阻害してしまう)

そんな状況なので、e-faxの導入は割と画期的であった。

・受信したFAXはパソコン・スマートフォンにpdfで届く!

・電子メールを送る感覚で、どこからでもFAXを送れる(スマートフォンからの送信も可能)

そして、そこそこ安い!使用頻度から考えると月980円が高いか安いかは微妙なところだけど、お陰で海外出張中でもFAXのやりとりが出来るようになったのはありがたい。

こういう総務的な仕事も自分でやらないと誰もやってくれないのが、社員4人の会社の辛いところではある。環境整備的な取り組みは後回しになりがちだけど、ちょこちょこ改善進めていきます。次なる課題は固定電話かな~

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