韓国からお客さんが来た話
韓国からお客さんが来てくれました。訪問の目的は機械の下見。うちの会社は海外に中古の印刷機械の販売をするという商売をやっているのだけど、物によっては十年以上も使用された機械である。そのため、事前に機械のコンディションをチェックしにバイヤーが見に来ることがある。今回は社長自ら日本に来てくれた。
貿易の仕事をやっていると海外のお客さんと交流する機会は意外に少ない。海外相手の商売だと日常的に顔を合わせることはないし、お互い忙しいので具体的な用件以外のやりとりはほとんど無い。なので、こういった機会を最大限に利用して関係づくりと情報交換をしたいものである。(新米貿易マンの私としては、義父の営業スタイルを勉強する貴重な機会でもある)
ということで、この日はCさんと丸一日行動を共にした。空港にてCさんをお出迎え→うちのオフィス訪問→そのまま昼食→神戸にて機械の下見→夜は飲み会・・というスケジュールでした。
・驚いたことにCさんは日本語ペラペラだった!以前は日本拠点の印刷系の企業に勤務していたそうで、その頃には頻繁に日本を訪れていたらしい。ちなみに英語は勉強中とのこと。普段は英語でメールをやりとりしているのだけど、英語メールは部下の方が代筆していたらしい。日本語メインで会話できるバイヤーにお会いしたのは初めてだった。
・印刷系の企業でキャリアを積んだ後に独立し、現在は韓国の印刷業界で会社を経営している。Cさんのようなメカニックとしての経歴を持つセールスマンという方がうちの会社のバイヤーの中では一番多い。販売する商品の専門性が高いし、メンテをしながら使って頂きたいものなので、我々としても技術のあるお客さんに販売できるのは安心である。
・Cさんは村上春樹ファン、かつスピッツファンであることが判明!私とすごく趣味が近いことが分かり大いに盛り上がる。ハルキとスピッツは韓国でもこんなにメジャーなのか〜というのも私にとっては発見であった。
・Cさんは飲んでも楽しい人だった。気楽な雰囲気の中、リタイアしたらアフリカ大陸を目指したい話、子供がコリアナイズされないようすごく先進的な教育を行ってきた話、Cさんのワイルドな新婚旅行の話などなど、面白い話を沢山聞かせて頂いた。
いつかソウルに行きますね-!と固い握手をして解散。(商談も無事に成約しました。)会わないと分からないことって本当〜に多い!もっとバイヤーに会う機会を積極的に作ろう。
DIYな会社③
中東某国に暮らす義妹一家の2歳の姪っ子氏は、現在ナーサリーと呼ばれる託児施設に通っている。そのナーサリーにはアメリカからマレーシアからエジプトまで、世界中のキッズが通う。もちろん公用語は英語である。
突如すごい環境に放り込まれた姪っ子氏だが、慣れない環境にストレスを感じるどころか同世代の子供達が沢山いる環境はとても楽しいらしい。日本語すら最近しゃべるようになった姪っ子の言葉は通じていないはずだけど、子供同士で遊ぶのに言葉は特に問題ではないらしい。子供の柔軟性って本当にすごい。私はそんな環境に放り込まれたら3日でストレスで死ぬはずだ。
義妹&姪っ子とテレビ電話をした時に、その様子を教えてくれた。
私「みーちゃんナーサリーで何したのー?」
姪「ぶーぶであそんで、おやちゅ食べたよ」
私「うんうん。それで?」
姪「えびばでくいーなーしてー」
私「・・何て言ったの?」
義妹「"Everybody clean up"・・だと思う。。」
私「みんなでお片付けしたの?」
姪「えっとねーえっとねー、どやさー!どやさーするの!」
私「・・・どやさー??何て言ったの??」
義妹「・・・何だろ。。分かんない。。」
妻「もしかして・・・
"Do It Yourself"じゃない!?」
私と義妹「「そ れ だ!!!」」
カタカナ英語の呪縛が無い人には英語はこう聞こえているのか・・という衝撃はさておき、姪っ子氏もDIYの精神を学んでいるようです。
DIYな会社②
私はパソコンで作れる物であれば、できる限り自分で作りたいと思うDIY派である。WEB物から動画から各種印刷物まで、知識も能力もないくせに日々色々な物を作っている。
・・が、立体物のDIYについては致命的に不器用である。電気スタンドとか机とか、誰がどう見ても間違いようのない家具を組み立て間違えて妻に絶句されたことが何度もある。(最近は私が何かを組み立てようとすると、妻が遠巻きに監視するようになった。)
その点、義父はとても器用に色々な物を作る。何か不便を見つけると、ギコギコとノコギリで板を切り出して即席で色んな便利家具を作ってしまう。事務所を見渡すと、義父がDIYで作った即席棚やパソコンラックなどが至る所に存在している。うちの会社のDIY精神のあらわれなのだろうなぁと感じ入る。
**
社会派エッセイストとして大変尊敬している小沢健二さんが、DIYについて書いているお話がとても面白い。(うさぎ!DIY三部作)
「何でもプロに任せれば安心で確実!」という考えがますます幅をきかせる現代では、「自分ではどうしようもないよく分からない物」が増えすぎてしまっている。それは疎外感と非充足感を蔓延させ、実際に人々を無力にしてしまう。
「自分ではどうしようもないよく分からない物」だらけの世の中において、DIYは充足感を取り戻す強力な方法である・・というお話。
以前勤めていた会社は私にとって「自分ではどうしようもないよく分からない物」の代表格だったかもしれないなぁ・・と恥ずかしながら思ってしまうのだけど、小沢健二さんの視点を借りるとDIYで会社を作るというのはとても素敵なことだ。色んな物を作らざるを得ない環境に身をおくことで、仕事を/会社を「自分ではどうしようもないよく分からない物」にしないということであるのだから。
苦手分野でもなんでも、まずは手ずから作ることから始めてみようと思う。作るぞー!
DIYな会社
家族で会社を"経営"している・・という表現にはどうも違和感がある。経営という言葉にはどうも大袈裟で偉そうな、中央集権的な響きを感じてしまう。家族4人でやっている小さな会社には相応しくない。
"経営"という表現を避けて会社を"運営"しているという表現をずっと使っていたのだけど、これはこれで違和感がある。なんか部活とか委員会活動みたいで、プロとしてお金を稼いでいるというニュアンスが薄い。
なんかしっくり来ないなぁ。。と、ずっと表現に迷っていたのだけど、最近やっと適切な表現を見つけた。
我々は"DIYで"会社を営んでいるのだ。
個人的にはすごく腹落ちする表現である。なぜなら我々の会社はあらゆる意味でDIY的である。何度も言うけど4人しか居ない会社なので、自分の与り知らぬところで誰かが何かをやってくれているということはまずない。会社だったら「先々期の○○地区の営業利益率っていくつ?」とか「事務所の施錠システムのマニュアルどこ?」とか聞いたら大抵の物は出てくるが、うちの会社でそんなことはない。大抵の物は無い・・というと大袈裟だけど、いわゆる会社組織に比べるとそう感じるくらい、色んな物が出てこない。"無い"ことが仕事の前提である。無い物は作る、作れないなら無いなりになんとかする、というDIY精神を発揮しないと仕事にならない環境なのである。「えー無いの!?」→「じゃあ作ろう!」という発想転換をスムーズに行い、なおかつそれを楽しめるか・・このへんが家業的な生き方を楽しめるかどうかの分かれ目である気がする。
特にウェブ関連・デジタル機器関連は長らく手をつける人が居なかったようで、私はその分野でDIY精神を大いに発揮して仕事に勤しんでいるところです。(なんと最近までホームページが無かった)
多分続きます。
仕事と生活②
仕事と生活の垣根が無い日々の話の続きです。
サラリーマン時代、仕事と生活の間には不可侵の壁があった。
スーツを着て電車に乗って会社に行き、オフィスの机に座る・・という儀式を経ることで生活からは完全にエスケイプできる。会社では(少なくとも勤務時間中は)仕事>生活という価値観を持つことが強く奨励される。
会社に居ると我慢しなきゃいけないことは多いし、それが嫌で転職したようなものなのだけど、会社に居る時間は仕事のことだけを考えてて良い。「仕事と生活のどっちが大事なのよ!」と誰に言われることもない。これは極論を言えば・・・すごく楽である。
さて、家業に転職してからこの「不可侵の壁」が崩壊した。サラリーマン時代は「ゴメン今、仕事中だから」で済んでいたことがそれで済まなくなったのである。クリーニングにいつ行くか、いつ買い物に行くか、週末は何をして過ごすか・・というのを仕事をしながら同時に判断/行動しなければならなくなったのだ。
"不可侵の壁"が無いことで困ることは、仕事が立て込んだり仕事以外の用事が増えただけで、どちらかに容易に流されてしまうことだろうか。これまで"不可侵の壁"に守られていたものが無くなり、未だにポジション取りに迷う日々である。
私にとってこれは、「仕事は神聖で不可侵な行為」という神話の崩壊でもあった。10年間サラリーマンをやっていた私としては、これは画期的な変化だ。仕事は不可侵で神聖な行為・・という価値観は立派だし、生きていくうえですごく大事でもある。けれどそれが行き過ぎてしまった結果の不幸な事例も多い。最近も過労死に至ってしまった方がいらっしゃるそうで、元サラリーマンとしては胸が痛む事件である。仕事を頑張りすぎた結果、家族や近しい人が犠牲になってしまうような事態は避けたい。
仕事も生活も、両方をかけがえのない神聖な行為だと認識してどちらにも流されないよう、価値観の転換が求められているなーと感じている今日この頃です。最近微妙に忙しかったので、あらためて。
仕事と生活
私、妻、義父、義母の4人で会社を運営しているのだけど、4人で会社を運営しているといっても定時がある訳でもないし、全員が同時に働いている訳ではない。
家業を営む我々は、働きながら家の用事も遂行しなければならない。炊事、洗濯、掃除、買い物、クリーニングに行ったり食材の買い出しに行ったりと結構な仕事量である。それに加えて、ジムに通う時間は忙しくても確保したいし、義父はピアノを習ったりテニスに出掛けたり、義母はテニスに俳人活動と仕事以外でも大忙しの日常を送っている。
なので、仕事の時間と生活の時間のバランスを各人が調整しながら毎日を過ごしていることになる。このバランスは結構難しい。うちの会社には労務管理をしてくれる人など居ないのでワーカホリックな生活に墜ちるのは簡単だし、逆に仕事の比重が軽くなりすぎたら事業はいずれ衰退していくだろう。
仕事と生活の比重は家族それぞれに異なっており、義母/妻/私/義父の順に仕事の比重が軽く、生活の比重が重い。家事をやってる方がエライ、仕事を頑張っている方がエライという話ではなく、それぞれに比重が違うからこそ全体ではなんとかバランスを取れている。(中東某国で子育てという人生最大の「家事」にいそしむ義妹は現在は家業を休業中である。)
私と妻が仕事に追われている時に、義母が"仕事より大事なことなど山程ある"という視点を投げかけてくれたり、それぞれのスタンスが微妙に異なるからバランスを保てていることは多い。そんな風に、家族全員のチームプレイでいかに仕事と生活を成り立たせるか、ということを追求していかないと家業というのは続いていかないんじゃないかなぁと感じる。
家計の時間
家計の管理、どうやっていますか?
サラリーマン時代、周囲を見渡すと既婚者は「お小遣い制」を敷いている方がほとんどだった気がする。その場合、専業主婦の奥様が家計を管理しているのが一般的であった。働き盛りの既婚者は忙しいため、家計の管理を含めた家庭の運営を奥様に任せる・・という役割分担を選択する方が多いためだろうか。
前の会社ではあまり見かけなかったけど、「夫婦別会計制」を敷いている友人夫婦も結構多い。夫婦共に仕事をしていて、収入が均衡している場合に多い気がする。自分で稼いだお金は自分で管理したいという気持ちは自然なものだろうし、仕事を頑張るモチベーションにもなるだろう。
「お小遣い制」のメリットは計画的な節約/貯蓄が出来ること、「夫婦別会計制」のメリットは互いに干渉が少なくストレスが少ないことだろうか。
さて、うちは今のところ「お小遣い制」「夫婦別会計制」のどちらにもあたらない。まず二人で同じ仕事をしているので、夫婦いずれかが家計を操縦する「お小遣い制」の導入には抵抗がある。そして給料の出所も一緒なので、「夫婦別会計制」という発想も出てこなかった。(お小遣い制の導入を妻が主張することもあるけれど、のらりくらりと2年間はぐらかしている。これからもはぐらかすつもりである。)
家計管理の主導権は互いに譲らず、かといって別会計にする訳でもなく同一の口座を二人で管理するというスタイルに落ち着いている。
では家計の管理をどうやっているのかというと、月に一度「家計の時間」を設けて二人で支出管理を行っている。全ての口座の残高とクレジットカードの明細と領収書類をひっくり返し、月の支出と残高をエクセルに記録する。これだけは毎月欠かさず行なっている。そして欲しい物がある時はその都度「話し合い」である。買いたい物がある時は妻が納得するまで粘り強く必要性を訴えなければならない。
「家計の時間」は2時間以上もかかることもあるし喧嘩に発展することも珍しくないのだけど、だいたい「家業を発展させて給料を上げよう!」という共通の目標に着地する。家計において夫婦共通の目標を持てるのは家業的な生き方の大きなメリットだろう。