familybusiness’s diary

家族で貿易商社を営む日々のあれこれ/オンライン読書会はじめました

常識だと思っていた③

貿易の仕事を通じて気づいた日本文化の特殊性の中に、「ジョークを言う文化」に対する違いがある。

日本では、偉い人や有能な人ほどジョークを言う人は少ない。特に会社組織などでは、役職が上がるにつれてジョークを言う人は減っていく。偉い人を交えた大事な商談などでは、立場のある方はいかにも重鎮といった感じで威厳たっぷりに座っているのが大きな役目であり、ジョークの交換どころか発言も少なめである。立場のある人がジョークを言ったりするのは相手に軽率な印象を与えてしまったりして威厳を失うのでよろしくない・・という風潮なのだろうか。

日本の会社でしか働いたことのなかった私は世の中そんなもんだと思っていたのだけど、どうやらそうではないらしい。特に欧米思想のビジネスマナーを学んでいる人達は、立場のある人や有能な人ほど沢山ジョークを言う。まるでジョークを言うことは有能さの証明であるかのように、大事な話の最中でもジョークを連発する。ジョークが思いつかないなんてことがあったら彼らの"名誉"に傷がつくので、いざという時の"小咄"をストックしている人も多いそうだ。

私がこれまで出会った方の中で一番ジョークが上手かった方はシンガポール在住ビジネスマンのMさんである。3年ほど前に初めてお会いした際、結婚を控えていた我々夫婦に結婚にまつわるブラックジョークを連発して爆笑させてくれた。当時、今以上に英語が分かっていなかった私を初対面であんなに大笑いさせてくれるなんて、日頃からのトレーニングがなければ決して不可能なことだろう。

彼の会社はその後も急成長を続け、今や創業10年ほどで8ヶ国に80人のスタッフを抱える経営者である。経済成長のスピードが違うので一概には言えないけど、彼のことを思うとジョーク力と有能さは相関するのではないかなぁと思ってしまう。私も精進しよう。

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常識だと思っていた②

今年はお花見は行かれましたか? お花見は日本人に生まれて良かったーと思えるイベントの一つだけど、"屋外(公共の場所)でお酒を飲む"という文化は、実は結構珍しい文化だったりする。

世界的に見ると、屋外でお酒を飲むことが法律や条例で禁止されている国の方が圧倒的多数派です。ウィキペディア情報によると、屋外(公共の場)での飲酒に何の規制も存在しない国は日本、中国、香港、シンガポール、オーストリア、ブラジル、キューバ、デンマーク、フランス、ドイツ、スイス・・くらいらしい。

そもそもイスラム教の戒律が厳しい国ではお酒を飲むこと自体が違法である。イスラム教の戒律が一番厳しいサウジアラビアでは飲酒に対して鞭打ち刑の罰が存在する。お酒の密売で捕まったら最悪死刑なので、お酒を飲もうと思ったら命懸けである。

非イスラム教国である北米・ヨーロッパの国々でも屋外の飲酒は規制されている場合が多いけれど、このへんは治安維持の観点からだろうか。禁酒法の歴史もあってかアメリカ・カナダは特に厳しい。

そのへんの事情を鑑みると、お酒の自動販売機まで存在する日本はお酒に対してかなーり寛容な国である。タバコに対する風当たりの強さに比べると結構アンバランスな気もする。

ちなみに、お酒に対する寛容さとアルコール依存症の発生にはそんなに相関関係はないようで、日本は他国と比較するとアルコール依存者の割合は少ない(136位/189カ国)。公共の場での飲酒に厳しいアメリカ・カナダの方がアルコール依存症者の割合がよっぽど高いのは不思議である。(世界・アルコールの依存症者の割合ランキング

 

そんなことを思いながらお花見をするとよりお酒が美味しく・・なりません。私はほとんどお酒を飲めないのでいつも運転手です。

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常識だと思っていた①

異国の珍しい文化に触れて驚く機会も多い今日この頃だけど、自分の常識が世界標準とかけ離れていることに気づかされることもある。

最近の私のカルチャーショックは食馬文化である。私の故郷熊本県の名物は馬刺し。スーパーの精肉コーナーにはトリ・ブタ・ウシに並んでウマのコーナーがあるし、うどん屋さんには馬肉で作った肉うどんがメニューに並ぶ。(さくらうどんという名前です。熊本では馬肉をサクラ肉と呼ぶ。)馬肉コロッケなんてものもあるし、子供の頃から食卓に馬刺しが並ぶ日はご馳走の日であった。

この話を海外の人にすると、高確率で"ぎょっ"とされる。あからさまに嫌悪感を示す方もいる。狗肉を食べる文化圏の方に"ぎょっ"とされた時は流石にちょっとショックだったけれど、もしかしたら食馬文化は狗肉以上に珍しいのかもしれない。

馬肉を食べる文化はヨーロッパ圏では幾つかあるらしいが、アジア圏では日本だけのようである。ヨーロッパにも馬肉を生で食べる文化はないようなので、わたし調べによると生の馬肉を食べる文化を持つ国は日本だけである。食文化の話は時と場合によっては繊細な話題だったりするので、レアな文化であることは自覚しておかなきゃいけないなーと思う。

結婚して数年が経つけれど、未だ妻にも馬刺しは敬遠されている。いつか口に放り込んでやろうと狙っているのだけど、なかなかチャンスが巡ってこない。

続きます。

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どれぐらいマイノリティなのだろうか②

今週のお題「自己紹介」にのっかって、自己紹介の続き。

家族経営という意味だけでは「大塚家具」なんかの大きな会社も入ってしまうので、このブログにおけるfamily bussinessという言葉の使い方を整理しておきます。

このブログでは、以下の3つの意味で使っています。

①家族経営

②スモールビジネス

③長寿企業

「仕事が楽しければ人生は楽園だ」という言葉を遺したロシアの文豪がいるけれど、いかに仕事を楽しむか、というのはひょっとすると人生最大の問題かもしれない。簡単な問題ではなく、仕事にまつわる不幸な状況は複雑さを増しながら今の世の中に溢れている。

日本において生活の場(家庭)と仕事の場(会社)が切り離されてから100年近くが経つけれど、"家族経営"を行っている我々は未だに家庭と仕事をごっちゃにして働いている。その中で、守るべき家族のあり方について思うことは多い。

もし多くの人が"スモールビジネス"を営むコツを体得することができれば、雇用される以外の選択肢が当たり前になる社会が実現できるだろう。それは労働における多くの不幸を回避できると考える。30年以上一匹狼的に商売をしている我々家族の働き方は、貴重なサンプルとして誰かの役に立つと信じている。

そして、我々家族が働き方の理想の実現に迫れば迫るほど、"長寿企業"であることへの挑戦は重要な課題になっていくだろう。

そのあたりのことが、私がブログを書く動機です。我々家族の試行錯誤の過程と成果を発信できたらなと思います。

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どれぐらいマイノリティなのだろうか①

今週のお題「自己紹介」にのっかって、今更ながらの自己紹介です。

・熊本県生まれ

・高校卒業後、大学進学のため上京

・東京の4年制大学を卒業後、大手食品メーカーに就職

・初任地は福岡(営業)

・鹿児島に転勤(営業)

・大阪に転勤 (事務)

その後、大阪で妻と出会い2年前に結婚。半年前に妻の家業である貿易商社に転職。現在はパソコンが苦手な妻と、パソコンが苦手な義父と、パソコンが苦手な義母に囲まれながら慌ただしくも幸せな日々を送っている。

企業と家業、両方の世界を知っている人は世の中にどれくらいいるのだろうか。企業に勤めていた頃、家業を継ぐために退職された方はお見かけしたことがあるけれど、その逆はなかった。家業と企業の間のキャリアパスは一方通行なのだろう。家業のある家に生まれた方は、一生お勤めを経験することのない方も多いだろう。

そんな事情から企業と家業の間の溝は埋まらず、お互いに"未知の世界"のままであるのではないかなと思う。2つの世界を知る私だからこそ、この溝を少しなりとも埋めることが出来るだろうし、それは意味のあることだと思っている。

日本の従業員およそ4,000万人のうち、従業員300人以上の大企業で働く人はおよそ1400万人。そのうち大企業から離職する人は15%程度らしい。大企業からの転職者のうち、求人も出ていない零細企業に転職する人の割合は多く見積もっても5%くらいだろう。

このように仮定すると、私は労働人口市場では0.2%以下のマイノリティということになる。ちょっと照れるぐらいのマイノリティっぷりである。

ファミリービジネスをテーマに情報発信している方になかなか出会わないのはちょっと寂しいところであるが、マイノリティだからこその視点は大切にしていきたいと思う。

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Uberを褒めちぎる③

Uberを褒めちぎる話の続き。

海外でUberを使う際の最大の障害はスマートフォンの通信環境だと思う。Uberを使うには、インターネットに繋がってSMSが受信できるスマートフォン端末が必要である。

しかし、海外で気軽にパケット通信を使うと一日に何千円もかかってしまうため、Uberのお得感が台無しである。"イモトのWifi !!"とかのポケットワイファイレンタルサービスを使ったこともあるけれど、通信は遅いしすぐにパケット上限を使い切るし、使い勝手は今ひとつだった。何よりスマートでない。

結局、Uberで配車をする一瞬の間だけパケット通信をONにし、すぐにパケット通信を切る・・というみみっちい使い方をしているが、それでも翌月の携帯の料金が数千円アップしてしまう。それに、パケット通信をOFFにしちゃうとドライバーからのSMSが受信できなくなるため、ピックアップの連絡がスムーズに行えなかったりする。

海外で簡単かつ安価に使えるパケット通信のサービスが始まればいいのになぁと思うのだけど。旅慣れている人はどうしているのだろうか。

 

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Uberを褒めちぎる②

Uberを褒めちぎる話の続きです。

もはや私が説明する必要もないけど、Uberはタクシーに代わる自動車配車サービスです。スマートフォンアプリを経由して簡単に車を配車できる利便性から世界中で大ヒットしている。(Uberはタクシーと違い、ドライバーは会社に雇用されている訳ではなく個人がドライバーとして登録している。カーシェアリングサービスの一種とも言えます。)

私はUberを利用して嫌な思いをしたことは一度もない。これまで海外でタクシーに乗ると5割くらいの確率で嫌な目に遭っていたことを考えると画期的なことだ。

利点をまとめると以下の3点。

①目的地を伝える必要がない

私のような海外初心者にとっては、タクシーの運転手に行き先を伝えることが一苦労である。発音が悪くて通じないことも多いし、目的地を誤解されて変なところで降ろされたら多分私は日本に帰ってこれないと思う。Uberは、配車の際に目的地をアプリで入力しているため、目的地は乗車の時点で運転手に伝わっている。決済もスマートフォンで完結できるので、なんなら一言も喋らなくても目的地に着くのだ。更に、「そんな近場なら乗せないよ!」という乗車拒否も起こり得ない。これはすごく楽だ。

②決済が楽。安い

もちろん国によるのだろうけど、私の経験則ではUberの料金はその国タクシーの相場より俄然安かった。日本のタクシー料金の相場と比べると激安と言ってよい。配車の時点で値段も分かるので、いざ現地に着いてから「高ッ!」となることもない。レートが決まっているのでぼったくられる心配もない。(料金は距離×レートの一律計算。)

UberXという高級車配車のサービスもあるのだけど、通常のUberでも充分満足のクオリティでした。クレジットカードでの決済もできるのでチップも気にしなくて良い。素晴らしい。

③運転手が良質

Uberのドライバーは全員がプロの運転手という訳ではなく、空き時間を使って副業的にやっている人が多い。なので車輌は個人所有のものであり、運転手はアマチュアということになる。しかし、プロではないはずの彼らは何故か普通のタクシー運転手よりずうっっと有能で気さくで、車も綺麗であった。(自家用車所有率の低い国では車を持ってる人はそれなりにハイソな人達だからなのだろうか)Uberの運転手から現地の事情がよく分かる面白い話を聞かせてもらった経験も非常に多い。

ちなみに、配車の時点でUberの運転手の評価を見ることが出来るので、リスクを更に減らしたいのならば評価の低い運転手を避ければよい。

などなど、タクシーに乗る理由がマジで見つからなくなる素晴らしいサービスです。明日はさらにUberを使いたいが為に思う改善点というか困ったことを書きます。続きます。

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